空にうつるもの
忘れ物
ーザッ ザッ ザッ
カラオケの店に向かって歩いていると、翔が突然ポケットを気にしだした。
「………っ!!さっきの店に携帯忘れてきた。…ちょっと取りに行ってくるな。悪い、ここで待っててくれ。」
ばつの悪そうな翔。
『待ってるから、早く行ってこいよ。……取られたら大変だしな。』
「あぁ…行ってくる。」
翔がもと来た道を戻っていく。
……翔も意外と抜けたところあるんだなぁ。
意外な一面を見れた気がして、翔の後ろ姿を眺めていた……。
ーーー・・・ーー・ー
ー翔side
ー カラン カラン
アリガトウゴザイマシタ
店を出て、自分の携帯の存在を確認する。
……よかった、すぐに見つかって。
俺たちの座っていた席にきた客が、店に預けてくれていたのだ…。
蓮李に悪いことしたな………。
蓮李の元へ戻るため、足を早めた……。
「……?」
別れた場所に戻ってみると……、蓮李の姿が見当たらない。
「……どっかの店に入ったのか?」
……いや、蓮李は勝手にどこかに行くような奴じゃない。
きっと律儀に、ここで俺を待ってくれるはずだ。
そういう奴だ、蓮李は。
そんな蓮李の姿が、ここにはない………。
嫌な予感がし始め……、蓮李を探すために走り出した。
「……蓮李!!」
[*欠月][満月#]
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