空にうつるもの
友人
最初は理解しきれなかった母の言葉も、意味が少しずつ分かってきた気がする。
今でも時々、昌樹さんとは連絡を取り合う仲だ。
俺が辛いとき、不器用ながら心配してくれた、昌樹さんの優しさに、何度も救われた。
俺はあの時の選択は、正しかったと信じている。
自分から遠ざけるようなことをしなくて……。
ーー・・・ーーー・ー
回想に耽りながら、金髪の髪に目を止める。
俺はこいつのことが知りたいと思った。
知った上で仲良くなりたいと。
こういう時は、思ったら即行動が一番だ…。
ためらいもなく、その男が座っている前の席に腰を下ろした……。
『なあ、名前教えてくれない?』
話しかけてみると目が合った。
少し眉を寄せ、何も言わず……、ただジッと目を向けてくる。
周りはそんなコイツの顔に怖がっていたが、俺には戸惑いが感じられた。
まあ突然知らない奴が話しかけてきたら誰でもそうなるな。
『…ってか、こういう場合俺から名乗るべきだよな。俺、春日蓮李。』
「……………天峰翔。」
ちゃんと答えてくれた。
なんだかそれが嬉しく、ついフニャっとした笑顔になった。
すると、翔が少し目を見開いた気がした。
理由が分からないので、少し首を傾ける。
『どうかした?』
「…………いや…。」
『そっか……、なあ、翔って呼んでもいいか?俺のことは、蓮でも蓮李でも好きに呼んでくれたらいいからさ。』
図々しいかと思いつつ聞いてみる。
「……お前は……。」
『ん?』
「俺が怖くないのか?」
眉を寄せて聞いてくる。
なるほど、それを気にしてたのか。
[*欠月][満月#]
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