空にうつるもの
母の言霊
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それは昔のこと…。
俺がまだ小学生のとき。
暇なとき、公園で遊んでいた俺は、よくそこに来る、少し歳の離れたお兄さんと仲良くなった。
仲良くなったきっかけは覚えていない…。
彼は昌樹と名乗った。
そんなある日、近所のおばさん達が昌樹くんの悪口を言っていたのだ。
昌樹くんは目つきが悪く、最初の頃は睨まれているのかと思ったほどだ。
そんな昌樹くんに対して【野蛮】だと口々に言っていた。
【普段どんな悪いことしてるか分からない】自分達の子供に何かしないか心配だと……。
何でそんなことを言うのかが分からなかった。
家に帰って、お母さんに聞いてみたのだ…。
《……ねぇ、お母さん。目つきが怖い人は、悪い人なの?遊んだらいけないの?》
《どうしてそんなこと言うの?蓮李。》
《おばさんたちが、昌樹くんに対して言ってたの……。》
《そう…………………、その昌樹くんって子は、何か蓮李に酷いことをした?》
《うんう。一緒に遊んだだけだよ。》
《なら蓮李はその昌樹くんが悪い人だと思う?》
《………思わない。だって、僕と一緒に遊んでくれたよ。》
《そうね………、あのね蓮李。人との関わりって案外難しいものなのよ。
誰を信じていいかだなんて、すぐに分からないものだもの。
誰がいい人で悪い人なのかってこともね。
なら、人と関わる時に大切なことって、なんだと思う?……蓮李。》
問いかけのように、優しく諭してくれる………。
俺の疑問に答えた母の言葉の数々。
俺にとって母の言葉は大切で、忘れてはいけない“言霊”なのだ。
[*欠月][満月#]
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