空にうつるもの
あの場所
ーー・・・ーーー・・ー
あれから…、ほぼ、毎日のように土手に向かって散歩している。
買い物のあとによってみたり、家から直接行くこともあったり。
ご飯を食べるために行くこともあれば、本を片手に行くこともある。
時には手ぶらでぶらぶら行くこともあるし。
そこはまあ、気分だ。
通っていて分かったことだが、あの男はほぼ毎日来ているようだ。
行ってみると、よく空を見続ける姿が見れる。
俺は、気分で行きたいときに行くから、会わないこともあった。
または、俺が来た後に、あの男が現れることもある。
そして、俺の少し横に座るのだ。
あの男の定位置に…。
わざわざ離れて座るわけでもないし、俺の存在を突き放す雰囲気も、とくに感じない。
突然現れて、来るようになったこんな俺を、邪険に扱わないのだ。
…………嫌われてはないのかもしれない。
ただ興味がないだけとも考えられるが…。笑
いまだにあの男とは一言も話したことがない。
いつか……話してみたいとは思う…、がこんな雰囲気も悪くないと思う自分がいる。
あの男は常に無表情で、どう思っているかはよく分からない…。
それでもあの場所に行くことは、許されている気がするのだ。
ただの勘でしかないが。
なんであの場所がこんなに気にいっているのかは分からない。
それでも、変わらずあの場所に通うのだろう。
もうすぐ……、
……………入学式だ。
[*欠月][満月#]
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