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空にうつるもの




目を覚まさせるには運動がちょうどいいだろう。



幸いこの部屋は、音があまり漏れないようになっている。



少しくらいの音は、大丈夫だろう。



思いたったら即行動だ。



まずは………精神統一。




『…………………。』



そして、



『ハッ!!…・ハァ!……ハッ!!』


ーシュン ブンッ シュ



型を取り始めた…。



張り詰めた緊張感。



その中で気合いを込めたひとふり。



その連続によってつくりだされる型。



久しぶりだが、このなんともいえない緊張感が、気持ちいい。



『……ハッ!!…ハッ!ハッ!…』

ーブンッ シュッ シュン



俺は、小さい頃に柔道や空手を習っていた。



ある日、近くの道場を、父さんに連れられて訪れた。



父さんも昔習っていたらしく、試しにやってみろと、入門させられたのだった。



辛く、しんどい練習…。



最初の頃は早くやめたかったが、少しずつ上達していくのが分かると、楽しくなっていったのだ。


それからは、日々の練習にうちこんだ。



母さんの死により、それどころではなくなったため、道場をやめてしまったが…、今でも時々型をとる。



体が鈍ってしまうのは嫌だし、なによりもストレスの発散となる。



『ハッハッ!…ハッ!!…ッ!……・ッ!………………ふぅ。』



まあこんなものだろう。




昔、習っていただけあって、からんでくる不良にも対応できた。



顔が平凡のためか、時々からまれるのだ…。



といっても、避けるだけたが。



俺は試合でもないのに、人に対して武術を行うのが、好きではない……。



トラブルに巻き込まれたら、逃げるのが一番だ。



まあ、例外もあるけれど……。



俺にも、譲れないものがある。



その一線だけは…………譲れない。



まあ、その話は追々…。




[*欠月][満月#]

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あきゅろす。
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