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空にうつるもの
入学式




ーー4月7日ーー



ーガヤ ガヤ ガヤ


春休みも、気づいたらあっという間に終わり、今日は初登校だ。



引っ越したばかりの俺は知り合いなんて、一人もいない。



思い浮かぶのは、あの場所で空を見上げる……、あの男だけだ。



周りは、中学校からメンバーがあんまり変わっていないのか、グループが既に出来上がっている。



どこか他人ごとのように周りを見渡していた…。


こんな中、一人、窓の外を眺めている奴がいた。



そこだけ、ぽっかりとした空間。



誰も近づこうとしていないのか…………。



綺麗に染められた金髪の髪に、整った顔。


つり気味な目と、無表情が冷たさを感じさせる。


そのせいか、どこか近寄り難い雰囲気を醸し出しているのだ。



着くずした服にピアスのついた耳。



いわゆる不良と言われそうな出で立ちだ。



…だからといって、怖いとは思わないが。





ーヒソ ヒソ ヒソ


「なぁ。アイツってあの天峰翔だよな…。」


「聞いたことある。この間なんて絡んできた不良五十人を一人で倒したんだろ。」


「聞いた。聞いた。んで俺は、ヤクザと関係あるとも聞いたぜ。」


「こえ〜。俺は女をとっかえひっかえ遊んでるっとか聞いたよ〜。」


「ってか昔から、アイツの噂は絶えないよな。」



ーヒソ ヒソ ヒソ



噂話が聞こえてくる。




まったく…、噂話が好きな奴は、どこ行ってもいるよなあ。



俺はアイツ……、普通にいい奴な気がするんだよなぁ。



ただの勘だが…。



目が濁ってない。



本当に不良だとしても、男だったらケンカの一つや二つはする。



そんなことを気にしていたら、人となりは見えてこないのだ。




そういう風に、俺は教わってきたのだから……。




[*欠月][満月#]

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あきゅろす。
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