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特別企画
暖かな日差しの下で

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暖かな日差しの下で
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「こんな所にいたのか・・・・」


木に寄り掛り目を閉じている不動の姿を確認し、溜め息交じりに呟いたその言葉は春の優しく暖かな風に溶けて消えた

サクサク と青々と茂る芝生を踏みしめゆっくりと近づいていけば、
わずかに聞こえてくる規則的な呼吸音


「寝て・・・いるのか・・・・。」



こんなところで眠っているなんて珍しいな ―・・・・・



練習再開の時間がはやまったことを伝えるために連絡がつかないメンバーを円堂と鬼道と手分けして探すことになり、最後まで見つからなかったのが今目の前で穏やかな表情をして気持ちよさそうに眠っている不動だった。

今もまだ捜し歩いているであろう二人のために、携帯を取り出し“見つけた”そう一言だけ打ち込んでメールを送る。



練習再開まで後27分。
あと10分ぐらい眠らせてやってもいいだろう・・・



そんなことを思いながら、なるべく音をたてないように不動の隣に腰かけた

ぽかぽかとした暖かな日差し、
心地好い春の柔らかな風



なるほど、これなら眠くなってもしかたないな・・・



とくにやることもなくぼんやりと空を流れる雲を眺めていれば、太腿のあたりに突然感じた重みに驚き視線を向ける



「っ、ふ、不動!!?」



向けた視線の先に見えたのは自分の脚に頭を乗せ眠っている不動の姿
不動と付き合いはじめたのは最近・・・・・・・・ではないが、付き合っているといっても円堂と鬼道のように自然に手を繋いだり、いつも隣にいて支え合っているというわけでもない
俺と不動の性格上、試合に勝った時や新しい必殺技が完成したときも抱き付いて喜ぶなんてことも一度もしていない。
せいぜい軽くハイタッチをするくらいだ
だから周りも俺が不動と付き合っていることなんて全然気が付いていない
まぁ、それは周りにからかわれたりするのが苦手な俺にとって気付かれていないことはむしろ好都合なんだが・・・・


部屋で二人っきりになったとき、軽く触れるだけのキスをしたことはある
だが、それも片手の指で足りるくらいの回数で、
普段から触れ合っていればさほど恥ずかしいとも感じないのだろうが、俺は今のこの状況が恥ずかしくてしょうがない


不動を近くで感じられる事は嬉しい
凄く嬉しいんだが・・・・・・・・
でもやはり恥ずかしいものは恥ずかしいんだっ!!




「お、おい、不動、起きろ」



自分の顔が真っ赤に染まっていることは簡単に想像がつく。
とにかく何とかこの状況を打破しようと眠っている不動の肩をゆする



「ん・・・・・」



小さな声とともに不動がゆっくりと目を開く



「ん、ぁ・・・・修也・・・・・・?」

「っ///」



不動が起きたことに安堵したのもつかの間、呼ばれた名前に先程よりさらに顔に熱が集まる

正直な話、俺は名前で呼ばれることにも慣れていない
勿論呼ぶこともだ
何度か不動に言われて呼んだこともあるが、そのたびに顔に熱が集まってしまう
呼ばれてもそれは同じだ

普段なら俺のこの反応に苦笑いしながら、しかし呆れるでもなくただ優しく頭を撫でたり、"ま、ゆっくり慣れてけばいいだろ"などと声をかけてくれるが、少し驚いたような表情で見つめてくるだけで俺の脚の上に乗せた頭をどかそうとしてくれない



「なんで、お前が・・・・・?」

「・・・目が覚めたならそ、その、ど、どいてくれないか・・・・」

「・・・・・・・・やだ。」

「っ、や、やだじゃない!!
再開時間がはやまったんだ、そろそろいかないと午後練遅れる!!!」

「再開何時」

「あと19分だ」

「・・・あと10分」

「っは!?
ま、まて寝るなっ、不動っ!!!」



顔を真っ赤に染めたままひどく焦り、困っている俺の姿を見て楽しんでいるのかと思ったが、どうやらそれは違うようで、まだ目覚めきっていないぼんやりとした表情のまま“あと少し・・・・”そう一言どこか幸せそうな顔で言われてしまえば無理やりどかすことなんてできない
もともとただ恥ずかしかったというだけで嫌だったわけではなかったから、あと10分だけなら・・・と小さく息をはいてもう一度空に視線を移す



降り注ぐ暖かな日差し
時折吹き抜ける心地好い春風
揺れる草木の奏でる音や、聞こえてくる小鳥の囀りは子守唄を唄っているようで徐々に瞼が重くなってくる
どうせこのまま起きていても後10分は動けないし、少しくらい・・・・
そう思い俺もゆっくりと瞼を閉じた



勿論、俺自身この後完全に眠ってしまい、目が覚めた時にはすでに部活再開時間を大幅に過ぎてしまっていた事は言うまでもなく・・・

とりあえず円堂と鬼道の機転により監督とマネージャーからの説教はなかったものの、



“あのメールの後、なかなか豪炎寺が戻って来なかったから一応探しに来たら二人して熟睡しているとはな”

“疲れてたんだろ、最近練習ハードだったからな〜。
とりあえず、なんか二人とも起きそうになかったし、このままだと監督と夏実達から説教されかねないと思って、午後の練習試合のレギュラーから俺達抜いてもらったんだ。”

“ちょうどこの前監督と話をしていたときに、俺や円堂、豪炎寺、不動の四人に無意識のうちにチーム全体が頼っている節があるから今度このメンバーを抜いて様子を見てみたいと言われていてな”

“で、今日の午後の練習試合で見てみるのがいいんじゃないかって、俺達がベンチにいたら駄目だろうからって次の試合の方針とかについて話し合ってるって、さっき言ってきたら監督もそうするつもりだったからってOKでたんだよ。”

“は?いや、”

“普通に起こしてくれれば・・・”

“・・・・だって、なぁ・・・・・・・・”

“・・・あぁ・・・・”


““お前達(ら)あの状況で起こしたら、不機嫌オーラ丸出しで俺達に無言の圧力かけ続け他のメンバーに八つ当たりした挙げ句練習試合に引きずるのが目に見えてるんだ(よ)!!!この際言わせてもらうが(けど)全員それがわかっているから気付いていないふりをしているだけでお前達(ら)二人が両想いで付き合ってることぐらい知っているからな!!””←(ノンブレス


““っはぁ!?””

“な、なにを言ってっ・・・・/////”

“な、何でっ”

““気付いていないと思っているのはお前達(ら)くらいだぞ。
前々から言いたかったんだ(けどさぁ)が、お前達(ら)二人とも顔と態度にその時の感情がはっきりでている事に揃って気が付いていないのはどうかと思うぞ。””

““・・・・・・・・。””

“まぁ、とにかく今回は大目に見てやるが次はないからな”

“前もって言っておくけど次は容赦なく叩き起こすからな(ニコッ”



などと、俺達二人にとって物凄い爆弾を、きらきらと輝く悪意のない綺麗な笑みを浮かべた二人に投下され、俺と不動は揃ってしばらくの間思考停止していた・・・







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あとがき

本当に、本当に遅くなってしまってすみません
さり気ないバカップルがなかなか想像できなくて、書き直しを繰り返していたらこんなに遅くなってしまって
しかもこれも本当にバカップルになっているかわからないですし・・・・・・・・
本当にすみません!!
こんなものでもよければもらってあげて下さいm(_ _)m

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あきゅろす。
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