パニパレとテスト終わり *パニパレ 亜貴とえっちゃん *真朱←亜貴のお話 *誰にも秘密の恋心 ━━━━━━━━ 何が些細で何が大切なことなのか。 そんなこと、きっと誰にもわからない。 「どうしたのさ亜貴ちゃん、テストなんて眺めながらにやにやして」 「えっ!?」 「なになに、そんなに点数良かったの?」 「あっ、うん、そうなんだ…!!」 あはは、と必死に笑顔を作りながら、こっそりとテストの答案用紙をえっちゃんに見えないように後ろ手に隠す。 思わず肯定してしまったけれど、実際の点数は平均より少し上ぐらいだ。正直、可もなく不可もなく。嗚呼、だからこそ言えやない。私がにやにやしていた(らしい)のは、決して点数のせいなどではないのだと。 とりあえず色々勘ぐっていたえっちゃんは上手く丸め込み、ようやく落ち着いたところで席に着く。それから、隠していた答案用紙をそっと広げながら改めて眺めてみた。 テストの教科は世界史。答案用紙に書かれているのは私の名前に私の解答にテストの点数。そして、点数の横に大きく書かれた“前回より点数アップ!よく頑張りました、偉いぞ”の文字。 私ももう高校生、先生からのコメントに喜ぶような歳でもないのに。それでも、その大きく主張された言葉を見ると、自然と頬が緩んでしまう。 少し形のバランスが悪くて、勢いがあって、優しさの籠った先生の文字。例えばたくさんの言葉が溢れる世界の中であろうとも、きっと私はすぐに見つけられる。ずっとずっと見てきた、先生の―――真朱先生の文字ならば。 私にとって何が些細で何が大切なことなのか。 そんなこと、きっと他の誰にもわからない。 だから私だけでいい、私だけが知っていればいい。 “ただの”コメントに、どれだけの価値があるのかも。どれだけ愛しさを感じるのかも。 指のはらで不格好な赤字をなでる。次のテストでもっと頑張れば、今度はどんな言葉で答えてくれるのだろう。少し気の早い期待を胸に、四つ折りにしたテストは大切にファイルへと仕舞いこんだ。 秘密の宝物 (私だけの些細な幸せ) end * タイトルは大好きな曲名から拝借しました。 [*前へ][次へ#] |