たくよーさん
ブログからの再録ネタ
*ソラユメ 暁←皐月
*手探り状態のキャラ設定
*ちっとも笑えないテンションと内容
〜〜〜〜
「暁兄。私、暁兄が好きだよ」
「ありがとう、俺も皐月ちゃんが好きだよ」
同じように発せられた同じ言葉。
だけど、全く違う言葉のように響いて、二つの“好き”は私の耳へと届いた。
同じなのに同じじゃない。
同じに見えて正反対。
暁兄の持つ“好き”“嫌い”とは、それ即ち存在の良し悪しを表す量り。私みたいに愛してるとか、恋慕うとか、そんな甘ったるい感情とはひどくかけ離れた、もっと単純な好意。
暁兄の発した甘い言葉は、いとも簡単に私の心を現実へと突き放す。
その優しげな笑みは二人の関係性を線引きし、そして柔らかな声は残酷にも真実を明確にするのだ。
『暁兄は私を“好き”』
(だけど、きっと、本当にそれだけ)
優しげに弧を描いた瞳のその奥。淡く朧気に揺れる私の姿。その情けなくも悲しげに歪んだ自身の表情を目の当たりにし、私はとうとう気付いてしまった。思い知ってしまった。
この世には、どんなに願っても、どんなに泣いてすがったとしても、決して交わりあうことのない気持ちがあることを。
大好きな暁兄の瞳に映る私は、私の望んでいる“私”ではないことを。
これからもきっと、暁兄はこの恋心には気付かない。いつもと変わらない様子で私の名を呼び、私の頭を撫で、そして好きだと笑うのだろう。
何も気付かぬ“ふり”のまま。
「…好きだよ、暁兄」
そう、たとえこの声が、想いが、貴方に届かないのだとしても。
スパイシー・シュガー
(甘い言葉が胸を裂く)
END
*
前にブログに乗せた作品をサイトにて再アップ。
暁と皐月の恋は両思いよりどちらかの片思い設定の方が実は好きだったり。とにかく暁兄はズルい大人だと思います。
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