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闇に染まる、黄昏の雲



水面を震わせた小さな一粒。
万華鏡のように不思議な輝きの世界を映し出して消えた。
余韻は淡く、空っぽの光。波紋は儚く、虚無の闇に広がった。
どこへいった。
そんな疑問は、愚かすぎて理解のし難くて
―僕から溢れ流れた光と闇が微睡んだ雫は、
混沌という深い湖に呑み込まれた。
キミもその中に送ってあげようとしたんだっけ。
始めは。
混乱を極め、一度は壊れかけたココロ。
ツギハギだらけのまがい物で思考する。
間違えがないのなら、あの時にやってしまったこと。
朧気なのに鮮明に憶えている。
ここに来るまでの道程もスライドのように流れる。
いろんなものを兎に角手繰り寄せる歴史。
でもやっぱり、何処か抜けているみたいに感じる。
ぼやけた一点。僕の姿は抜け殻のようだ。
必死に存在を捜している。確かめる術などないのに。
こんな僕を染めているのキミの命だった色で
―今、離そうとしても身体から剥がせられないで、
ただ抱いている無垢な人形がキミ。
二人っきりでいる世界は変わらない。
漆黒の闇が心奪われるほど純白で汚れをしらない姿。
不気味なほどに美しく、僕自身の覚悟も意志も惑わせている。
キミには罪なんて決してない。そんなことわかっている。
寧ろ、僕が咎人だから、悪いのは僕。認めているつもりだ。
だけど、キミは洗いざらい全て赦してくれそうで、
また笑いかけてくれそうで、
優しい響きをあたえてくれそうで。
何かを期待している僕が僕の後ろで笑っている。
新緑の景色が風に揺れて唄う。
拒絶し続ける僕を吹き抜けて千切れそうな雲を攫った。
曖昧な切なさに耐えきれず一層キミを強く抱きしめた。
また、ココロが堕ちる。
悲鳴に似た鳥の声が響いた中で。




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あきゅろす。
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