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個性派学年又アイドル学年とも言われる見目麗しい者が揃っている学年、其れが四年生である。
その中の一人四年い組椚屋綾時は用具委員所属であり体力があり持久力も半端なくあるので複数回某体育委員長に勧誘されるがその度に友である滝夜叉丸に助けられて来たのである。
*****
「しんべヱは綾取り、したことあるか?」
「綾取り、ですかぁ?」
「うん、綾取り」
ふにふにと、餅のような滑らかな肌触りの頬に指を当てて感触を楽しむとくすぐったいのか楽しいのか黄色い悲鳴を上げたしんべヱに綾時は緩む頬を抑えられなかった。
「ありますよぉ、カメ子がやってましたから」
「じゃあ、一緒にやらないか?とても暇なんだ」
「はい!」
喜三太達に視線をやればあっちはもうすぐ終わりそうなのでこっちはこっちで邪魔をしないように綾時はしんべヱを綾取りに誘ったのだ。
しんべヱは嬉しそうに小さい掌に赤い糸を絡ませていく。
不意にまんまるなつぶらな瞳を綾時へ向けた。
綾時は少し首をかしげると、しんべヱは少し口をもごもごさせた。
その様子さえ可愛らしく思え綾時はしんべヱに発言を促した。
「あ、あの」
「ん?なにかな、しんべヱ?」
「綾時先輩は何時も綾取りしてますけど」
「…うん」
「なんで何だろうって思ったんです」
「それは、理由を聞いてるんだよな?」
「はい!!」
元気よく頷くしんべヱに抱きしめたくなる衝動を押さえる。(オレは小さい子愛好趣味なんて断じてない!)
「うぅーん…ほら指を馴染ませとかないと、指がそれを忘れてしまうからかな…?」
四つの掌の間で赤い糸は絡み合いながら形を築いていくのをしんべヱは嬉しそうに声を漏らした。
「うわぁ…!すごい、すごいですねぇ綾時先輩!!」
「ホントニねぇ…」
可愛らしいことを言うな、と目を細めているとしんべヱと目が合い二人で笑みを零し、声を出して笑っていた。
先輩たちがぎょ、っとした顔で見るがお構いなく笑い続けた。
「あぁそうだ、もっと大きな紐が用意できたら委員全員でやってみたいねぇ…」
「面白うですね!きっとやりましょうね?」
「かわいい、かわいい、しんべヱの為だもの約束しよう」
「わーい!!綾時先輩だぁいすき!!」
「オレもしんべヱのことだぁいすき」
するすると、ほどけていく紐をまた戻しながら指に絡めていく。
まだ、この可愛らしい一年生のにっこりと太陽の様な笑顔に癒されながら、綾取りをしていく。
でも、きっといつかは知りうるのだ、なぜ俺がいつも綾取りをしていたのかと言う事実を、ね。
ソレは首を絞めるのにちょうどいいの
(ぽとりと赤い糸が地面に落ちた)
椚屋 綾時 次男
なんでも絡みとって差し上げましょう
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