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最上級生であり後輩に慕われる率が常に上位にあるのが、六年ろ組椚屋唆音である。
年下には時に厳しく、常に優しく甘くというのが信念を持っているので後輩の風向きは非常にいいらしい。

だか、身内、同級生からの風向きは厳しいらしい。


「伊作、今日も可愛い不運っぷりだな撫で回してもいいですか!!」

「まるっきり無視かコノヤロウ!」

「大丈夫だ!留も十分範囲内だ!!!」

「いっぺん死んでみるか?唆音」

「ちょ、2人とも…」

「私は死なない!なぜなら兄弟の顔も見なきゃいけないし小平太や長次とも遊んでないし、い組にも用事があるし委員会があるからタカ丸にちょっかい出しに行くんだ!!」

「この節操なし!!!」

「はっ!博愛主義者といってくれるかな!!」

「ふ た り と も !!」


大きな声で二人を制すと、二人は一息吐き出し伊作の方へ年相応の顔を見せた。
つられる様に伊作も笑顔を見せ食堂へ向かっていった。

*******


「あ!おはよ!!」


食堂で元気よく声をかける小平太に輝く笑顔を見せれば、其方も満面な笑顔を返した。


「なんか朝からご機嫌だね!!唆音!」

「うん、だって小平太に朝一に会えたしね」

「うん?うん!私もだ!」


二人とも輝くような笑顔での会話なのだが、明らかに一人は下心満載だ。


「……」

「長次も、おはよ!今日も男前だな!後で膝枕して頂きたい!!」

「……」


本当に会話をしているのか不思議だが、会話は弾んでいるようだった。
ろ組で盛り上がっていると、唆音の視界に美しい触り心地のよさそうな髪がうつった。


「相変わらずだな唆音?」


微笑む姿は美しくさすが作法委員長とでも言うべきか、優雅な仕草で唆音の隣へ座り、食事はじめた。


「仙蔵も今日も美しいね、後で梳かさせてよ」

「ふっ…気が向いたらな」

「いけずぅ」

「お前ら早く食べろよ」

「おはよ、文次」

「あぁ」


睨みつけるように見つめている文次をにこりと流し、食事を再開する。
文次朗は段々と苛々しているのか視線をしきりに唆音に投げかけた。

食事は仲間と一緒に出来得る範囲ですること、ソレが
唆音が勝手に決めたことで仲間内はそれを守っているのだ。

目の前で食事に不運を発揮する伊作と、それを笑っていたり呆れていたり流していたり心配していたり怒っていたりする様に唆音は一人頬を緩め笑うのだった。



愛してるよ、だから何時までもこの手の中で生きていって
(全部愛してるよ)

椚屋 唆音 長男

闇に紛れて生きてやりましょう




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