☆Sub☆
◇◆◇3◇◆◇
「あ〜あ、君のカワイイおでこが赤くなっちゃってるよ。なんか、ちょっと腫れてない?」
瑛利のその心配そうな声で、僕は現実に引き戻された。
(まだいたのか。)
「お前こそ大丈夫か?」
あとで、慰謝料だなんだと請求されても困る。
そう思い一応口にした言葉に、瑛利はなぜか微妙な顔をした。
(何なんだ、一体...)
「う〜...それって何かの罠?」
「何の話だ。」
「普段人の心配なんてしない人が言うと、何かありそうで怖い。」
確かに...
僕も言ってから、柄じゃないと思った。
「普通に心配してくれてるんなら嬉しいんだけどね。」
そう言って瑛利は、微笑みながら僕の片頬を手のひらで包んだ。
もう片方の手はあやすように僕の頭を撫でている。
そういうふうに触れられるのは嫌いじゃない。むしろ、心地いいとさえ思ってしまう...
そこでハッとした。
(もしかして今、流されてる?)
瑛利の手を勢いに任せて払いのける。
「うわっ!!」
瑛利は目を丸くしてびっくりしながら、
「どうしたの?もしかして、痛いとこ触っちゃった?」
なんて見当違いなことを言っている。
「...違う。」
やっと、それだけは言うことが出来た。
「じゃあ、どうして?」
上手に言葉に出来なくて、口を開けたり閉じたりする。
「うるさいな。なんだっていいだろ?」
イライラしているのが声ににじみ出ている。
八つ当たりだ。
自分でも分かっている。
でも、どうしようもなくむしゃくしゃして、言わずにはいられなかった。
そんな僕を分かってか、瑛利は
「そのあとすかさずキスしてくれたら嬉しいんだけどね。」
なんてウィンク付きで軽口を言ってきた。
僕の思いすぎかもしれない。
けれど、そのおかげでさらにひどいことを言わずに済んだ。
軽くため息をついて言ってやる。
「何言ってんだ。お前の頭にはそれしかないのか...?」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!