Mille-Couleur.
白いヘヤ。
まずはじめに。
眼に映ったのは、
黒い天井に、くたびれた白い服を着た髭面に、媚びた面を臆面もなく髭面に向けるモノに……。
とにかく、いつも普段と、何らかわらない日常風景。
の、筈……………だった。
「………………?」
目の、前に、広がる、白…に似た色の……。
「……へ、や…?」
全体的に薄暗く、気味の悪い色合いであるあの店とは、正に対照的。
多分表情は変わってないだろうけど、これでも俺は物凄く当惑してる。
慌てて今まで寝ていたらしいふわふわなものから這い出る。
這い出てふわふわの大きさに驚いた。
俺の体よりも一回り二回りは大きいし、何だか幕?っていうのかな。そんなものがふわふわの上についていた。
足元にも、触り心地の良い…絨毯…?絵でしか見たことの無いものがあった。…正しくは敷かれている、のかな。
実際に見られるなんて、奇跡だ……!俺は束ツカの間感動してしまった。
俺は以前、髭面がいらないと捨てようとしていた、かなり古びた本をもらった…、というか隠したことがある。
あの本のお陰で、大体の字は読めるし、大体の言葉の意味は理解できるようになったんだ。
結構判読に苦労したけど。
そしてもう何年か前に見つかって捨てられてしまったけれど。
後になって髭面が、あれは『じしょ』だと言っていた。
また、『じしょ』を読んでみたいと思う。
ゆっくりとしゃがんで、絨毯を恐る恐る触ってみた。やっぱり物凄く柔らかくて、上物の感じがする。
次は、実はさっきから気になっていたふわふわを触ってみる。
このふわふわは『じしょ』には書いてなかった。
ふわふわは本当に、触り心地がよくて、気持ちがよくて。
ふわふわに顔を埋めていたら、いつの間にか心地よさに身を任せ、意識は眠りに沈んでいった。
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