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BL小説。
W:日常は束の間に。



その後普通に、いつものように、適当なくだらない話をして帰路を歩いた。


家が遠いはずなのに、俺を家まで送り届けてくれた。


風邪はひくなよって、頭を少し撫でてから、長身の長い影は立ち去った。


その後ろ姿をいつまでも見続けていた俺は、曖昧だったものが、ひとつの明確な形になって俺の中にあることに気づいたんだ。


……まぁ、本当はもっと前からあったのかも、なんだけど…。











……でも。





もう、ごまかせない。
















――――俺は、閑柾が―…すきだ…






































それから、何年か経った。


俺は高校1年になって、俺の通う学校は進級制だからもちろん閑柾も同じ学校に進級した。


あの時からなにかが変わったかと言えば、そうじゃない。


俺はあいつが好きだが、あいつはおれが好きなのかは、今のところ不明だ。

ただ、中学の時よりも大人びた、凛とした顔は――きれいで。


高校に進級してから、女にモテまくりだと、あいつと同じクラスの部活仲間に聞いた。


あいつは1-Aで、俺は1-C。


…その間にあるのは、たかがひとクラス。


…されどひとクラス。


俺たちは廊下ですれ違うことも、合同教科が一緒になることも、殆どない。


だいたいは隣のクラス―閑柾はBで俺の場合はD―と合同なため、ほとんど全く会わないと言っても良いだろう。


1日の大半の時間を共にしていたあいつが居ないというのを、耐えきれるかと言われれば、今は耐えられているから耐えきれるのだろう、と返せる。




だが寂しいかと聞かれれば、





―――半端無く、さびしい。





この前、閑柾が知らない男子生徒たちと楽しげに話しているのを偶然見かけた。


もちろん、常に標準装備な無表情は崩れてはいなかったけど、俺には解った。


だてに中学3年間一緒にいたわけではない。

閑柾は楽しそうに、目を細めていた気がする。



その時、なんだか孤独を感じた俺は、慌ててその場から逃げた。



まいにち。

閑柾がいない隣にぽっかりと空いた空間が、俺の中にある、空虚な感情を表しているみたいに、感じて。



酷く心細くなることもある。










でも。



「…待ったか?しろ」



別に、毎日の習慣が180度変わった訳ではない。



「や、そんな待ってないよ。帰るか」


「…ん」



俺たちは、やっぱりいっしょに帰っていた。

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