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広い世界の夢物語


「だが、そうさ。この400年の間には一族の名誉の為にとこの海へ乗り出した者も数知れねェ、その全員が消息不明になったがな」

そう話すクリケットは、そんな一族を恥じて海に飛び出し海賊になった、と自身の過去を話し始める。
ノーランドの呪縛から逃げ出したかった、ただそれだけ。
しかし10年前、冒険の末に行き着いたのがこのジャヤ。
最もモンブラン家を、ノーランドを嫌うクリケットだけが辿り着くことの出来た島。
これも運命かと、クリケットはノーランドと白黒つけるために仲間と別れ、一人海底へ潜り続けているのだと言う。

「あるのならそれもよし…ねェのならそれもよし…別に黄金を見つけて、奴の無実を証明したいわけじゃねェ。おれの人生を狂わせた男との、これは決闘なのさ。おれがくたばる前に、白黒はっきりさせてェんだ」

そう語るクリケットを、クルーは黙って見つめた。
と、ふと疑問に思ったのか、ルフィがマシラとショウジョウの2人は何故ここにいるのか、とクリケットに問う。
ウソップは、涙ながらに熱いドラマがなんて言うが、クリケットの答えは至極簡単だった。

「あいつらは絵本のファンだ」

「ファンかよ」

「ずいぶん簡単なつながりね」

思わずそう突っ込んだウソップとナミに、クリケットは2人との出会いを語る。
5、6年前に突然押し掛けてきたと言うマシラとショウジョウは、ノーランドの黄金は絶対あると思うんだ、と言ってクリケットの手下になった。
深く、孤独が付きまとう海を、来る日も来る日も一人で潜り続けていたクリケットにとって、2人の存在は救いだった。

「ああいう一途なバカには、正直、救われるんだ………わかるか……?」

穏やかに笑うクリケットに、ウソップはくぅっ、と涙を流す。


 

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あきゅろす。
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