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広い世界の夢物語


暗闇に浮かぶ大地と海が、不思議な力を与えられてその姿を変えていく様は、世界の創造を思い起こさせた。
月も太陽もない、星々の明かりだけが世界を照らすそこに、目を覚ましたエルフ達の姿を見つける。
暗闇が息づくその世界で、西へ旅を始めたエルフ達。



苦難の長い旅路を終え、辿り着いた至福の地で平穏で満たされた暮らしを送るエルフの姿に、幼いマルロスだろう姿が親友と笑い合っているのも見える。
不意に、その幸福を蝕み始める闇がエルフ達の間に広がる。
そして、至福の地にある光輝く美しい二本の木と、その光を閉じ込めた至宝が失われた時、再び訪れた暗闇の中、エルフ達のある種族は至福の地を去ることを選んだ。
それすらも、闇がもたらしたものだと言うことも気付かず、それまでエルフ達を守っていた力ある存在を裏切って。



至福の地とは海を隔てた、かつての生まれ故郷である大地を目指して、約束された平穏な暮らしを捨てて旅立つエルフ達。
その中には、まだ若い成長したマルロスの姿もあった。
至福の地と故郷である大地を隔てる海を渡るため、船を持つエルフ達を殺めてその船を奪ったがために、彼らは呪われた宿命を背負うことになる。



そして、仲間の裏切りにより船を失ったエルフ達は、吐く息すら凍り付きそうな氷の海を歩いて渡る。
その壮絶な氷の海の踏破は、多くのエルフの命を奪った。



氷の海を渡りきった時、星空に初めての月が姿を現して、七度空に月が輝いた後に昇った眩い太陽。
それから始まった、多くの戦いと悲しみの日々。
そんな日々の中で、閉ざされた王国で束の間の平穏な日々を親友と共に生きるマルロスと、繁栄する豊かな王国の姿。



そんな密やかで、満たされた幸福の日々を奪った、裏切りによる王国の陥落。
マルロスが見た悪夢のような光景、死が隣り合った壮絶な戦いの中で大切な人を失う、身を引き裂かれるような悲しみ。
マルロスの涙の理由が、この記憶にあることを知ったサンジの頬を、一筋の涙が伝う。





 

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あきゅろす。
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