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広い世界の夢物語


しばらくすると、スタート地点から2つのボートは見えなくなり、電伝虫を使った実況だけが状況を伝える。
一瞬、ウソップ達が敵チームを抜いたと言う情報が流れたが、すぐにまた敵チームに抜き返されたらしい。

『前方に見えるのはコースの難関!!"ロングサンゴ礁"地帯、更に奥には"ロング岬"。そこに渦まく"ロング渦"が待ち受けてるよ。両組、どう切り抜けるのか!!』

そんな実況の中、不意に敵船の船長が現れたと言う情報に、マルロスは今からでは妨害を阻止するのは無理だと、左手にある抜き身の剣を収める。
他のクルーも、それぞれの弱点を見抜かれて妨害を阻止するのを邪魔されている。
マルロスの視線の先では、フォクシー海賊団の綺麗所に囲まれて嬉しそうに鼻の下を伸ばすサンジが居た。
女好きなところも含めて、サンジの全てを受け入れる覚悟はあるマルロスだが、見ていて気分のいいものじゃない。
むすっ、と唇を尖らせて、そんな光景から目を逸らす。

『おやおや!?どうしたのかな、タルタイガー号、少々減速!!』

そんな実況が聞こえたが、マルロスはナミが居るなら問題はないだろうと、飲み比べをしているゾロの元に向かう。
フォクシー海賊団からジョッキを受け取ると、マルロスも酒を飲み始める。
どんな妨害を受けようとも、麦わらの一味である意味一番恐ろしいナミが居るのだ、乗り越えるだろう。
と言うか、美女に囲まれ鼻の下を伸ばすサンジの姿を見て不愉快になり、ちょっとヤケ酒でも飲みたくなったのだ。
それがサンジの性格だと頭では判っていても、やはり心は嫉妬してしまう。
あまりこう言った経験がないマルロスは、嫉妬したなんて言葉を直接言う勇気はなかった。
傍らに座り込み、黙々とジョッキを傾けるマルロスに気付いたゾロは、ちらりとサンジを見てマルロスの不機嫌さの理由を理解した。
本音を言えば、だからあの男はやめておけとゾロは言いたかったが、マルロスはそんなところも受け入れるつもりでサンジを選んだと判っているから、敢えて口を挟むようなことはしなかった。


 

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あきゅろす。
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