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広い世界の夢物語


「ヤハハハ………バカな男だな……別に私はお前達に危害を加えに来たわけではないというのに……」

「ならば何をしに来た!!」

「ヤハハ、冷たい言い種じゃあないか…実に6年ぶりだぞ…!!先代"神"ガン・フォール」

不遜に笑うその男こそ、"神・エネル"だった。
サンジを殺しやがった、と騒ぐウソップに、ナミは心臓があるのとは逆の右側にウソップの手があることに気付き、逆だと指摘する。
慌てて、ウソップが胸の左側に耳をあてれば、まだ心臓は動いている。
だが、酷い火傷を負っている現状のままでは、下手をすれば死んでしまう。
そんな騒ぎを煩わしく思ったのか、エネルが今度はウソップに雷を流す。
一瞬にして黒こげになったウソップに、ナミは何が起きたのか判らなかった。

「黙っていれば………何も……しない……いいな?」

口を手で塞ぎ、震えながら頷いたナミにエネルは結構と言い、ガン・フォールに向き直る。
何を企んでいる、と詰め寄るガン・フォールにエネルは6年前に捕らえた神隊の働きぶりを誉めると、6年掛かりの大仕事も終わりに近づいていると言う。
それは同時にエネルがこの島に用事がなくなるということらしく、ガン・フォールに別れの挨拶に来たと言うのだ。

「―――しかし、このスカイピアの住人共はつくづくめでたい奴らだ。この島をただ"大地"の塊としか見ていないのだから」

「!?どういう事だ……」

「我々がこの島を強硬に奪い取った理由、青海のハエ共がこの島に踏み込む理由、そしてシャンディアが帰郷に固執する理由も相違あるまい。つまり――誰もがこの島で求めるものは一つ!!全ては遠い過去に青海で栄えた伝説の「黄金都市」"シャンドラ"の名残を欲するがゆえだ!!」

黄金の価値を知らぬは、この国の者だけだと笑うエネルは、ふと倒れたマルロスに目を遣る。
碧翠の瞳は閉じられ、火傷が痛ましい身体をぐったりと横たえるマルロスの、その黄金の髪にエネルは目をつけた。
ぐいっ、とその片腕を掴んでマルロスの身体を持ち上げると、まじまじとその髪を見つめる。

「…………気に入った……貰っていくぞ」

「何を……!?」

ぐったりしたマルロスを肩に担ぎ、エネルは船の縁に足を掛ける。

「くしくもゲームは最終戦、このサバイバルを制した者が莫大な黄金を我がものとする。ヤハハハ……聞こえるか?賑やかな祭りの騒ぎ。何を隠そう、私も参加者でね……ゆかねば」

引き止めるように、ガン・フォールが神隊とマルロスを解放するのか、と声を荒らげたが、エネルは神のみぞ知る事だとあしらい、マルロスを連れて姿を消す。




 

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あきゅろす。
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