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広い世界の夢物語


そんな中、ルフィが倉庫から飛び出してきたかと思うと、オール漕ぎも手伝わずに甲板へ飛び上がる。

「お前、一体おれの特等席に…何してくれてんだァ!!!」

怒鳴ると同時に、腕を伸ばして勢いをつけた拳でクジラの目玉を殴る。

「アホ―――っ!!!!」

ゾロとサンジ、ウソップの怒鳴り声が響き渡る。
マルロスはただ、有り得ない、信じられないと言った表情で、言葉もなくルフィの背中を見上げる。
ナミではないが、さすがに死ぬかもしれないと言う思いが頭の片隅を過り、マルロスも頬が引き吊るのを感じた。
殴られたクジラが、ギョロッと船を見る。

「かかって来いコノヤロォ!!」

「てめェ、もう黙れ!!」

戦う気満々のルフィを、ウソップとゾロが後ろから怒鳴りながら蹴り飛ばす。
どつき漫才のような光景に、マルロスは軽い頭痛を覚える。
こんな緊迫した状況下で、何故ルフィはこんなにも緊張感や危機感が欠けているんだろう、とぼんやり考える。
ローグタウンで見た姿は、夢か幻だったのかなと、少しルフィに対して失礼なことを思う。
そんなことを考えていたら、船が突然大きく揺らいで、口を開けたクジラに吸い込まれていく。

「わっ!!」

「うわあああああ」

なす術もなく、船がクジラに飲み込まれていく船首甲板に駆け上がり、振り落とされそうになったマルロスが手摺を掴む。
ナミを抱え込み、クジラの胃に飲み込まれていくメリー号の甲板で、マルロスはルフィが船から落ちて口の外へ逃れていくのを見た。


 

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