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広い世界の夢物語


だけどルフィは、自分からマシラ達のことを訊ねながら、どうでもいいとばかりに聞き流す。
歯ァ食い縛れ、とルフィに殴りかかったウソップを退かして、ルフィはクリケットに訴える。

「だから……!!おれは"空島"に行きてェんだよ、おっさん!!」

迷いのないルフィの言葉に、クリケットはベッドの傍らの棚へ手を伸ばしながら、何故ノーランドの話をしたのか教える。
空島の証言者は、ノーランドなのだと。
一冊の古い本を手に取り、ペリペリと慎重な手付きでページを捲ったクリケットは、あるページで手を止めると読んでみろとナミに投げる。
それは、ノーランド自身が書き記した航海日誌。
海円暦1120年6月21日、そこに書かれている文章をナミが読み上げる。

「日中出会った物売り船から、珍しい品を手に入れた。「ウェイバー」という、スキーの様な一人乗りの船である…無風の日でも自ら風を生み走る不思議な船だ。コツがいるらしく、私には乗りこなせなかった。目下、船員達の格好の遊び物になっている…………ウソッ!!何これ、欲しい〜!!」

「いいから先読めよ!!」

朗読の途中で脱線したナミに、目を輝かせて聞いていたルフィ達3人が怒鳴る。
その言葉に従い、ナミは続きを読み始める。

「この動力は"空島"に限る産物らしく、空にはそんな特有の品が多く存在すると聞く。"空島"といえば、探検家仲間から生きた「空魚」を見せて貰った事がある。奇妙な魚だと驚いたものだ。我らの船にとっては未だ知らぬ領域だが、船乗りとしてはいつか"空の海"へも行ってみたいものだ。「モンブラン・ノーランド」」

そこまで読んで、ルフィ達はロビンの言った通りだと、一層目を輝かせる。
ウソップが言うように、ノーランドの時代には"空島"があって当たり前のように、日誌には記されていた。
興奮して騒ぐルフィ達に背を向けて、クリケットは静かに家を出る。
外で喧嘩していたマシラとショウジョウが、クリケットの体調を心配している。
そんな2人に、クリケットはルフィ達麦わらの一味が"空島"へ行くために、手を貸してやろうと持ち掛ける。
はしゃぐルフィ達の声の中、そんな話し声を聞いたマルロスは小さく笑う。
口では何だかんだと言うが、クリケットも随分と人が好いのだな、と。


 

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