広い世界の夢物語
5
少ししっとりとした髪は、べたつかずに指通りはサラサラとしたままで、手櫛で髪を整えられる。
「ちょっと甘い匂いだな。でも優しい匂いだから、マルロスに似合ってるぞ」
首筋に鼻を寄せたチョッパーの言葉に、見ていたウソップもマルロスの髪を一房手に取り、その香りを褒める。
少し離れていたサンジも、気になったのか側に寄ってくる。
煙草を灰皿に押し付け、ウソップと同じように短くなったマルロスの髪を一房手に取り、鼻先に近付ける。
「確かに、マジでいい匂いだな……マルロスに似合ってる」
「ありがとう」
ふわりと微笑んだマルロスに、サンジは微かに頬を赤らめて髪を離す。
ビビに香油を馴染ませてもらったナミも、その香りと髪の具合に満足げに笑っている。
「出航までに手に入れておきたいわね」
「そうですね。やっぱり香油があった方が、潮風から髪が傷むのを防げますし」
「でも手に入るか?復興作業が始まったところだし、店がやってないんじゃないか?」
首を傾げるウソップに、ビビが必要なら売ってくれるはずだと話し、復興作業中でもそれなりに買い物は出来るという。
それなら、明日か明後日には装備の買い出しに行こうかな、とウソップは呟く。
その頃には、ルフィも目を覚ましているだろう。
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