広い世界の夢物語 6 「あ、皆の包帯替えるぞ!!怪我の具合も診察したいし」 突然声を上げたチョッパーに、皆が一瞬きょとんとする。 それから、そうだチョッパーは自分達の主治医だと思い出し、順番に診察が始まる。 いつの間にか、寝ていたはずのゾロも起きている。 包帯を替え、それぞれの傷の具合を把握したチョッパーは、最後にマルロスに振り返る。 「マルロスはどうする?」 「別の部屋を使いますか?」 さりげないチョッパーの問い掛けの意味を理解したのは、ビビだけだった。 他の仲間達は、何でわざわざ他の部屋に行くんだと疑問を浮かべ、マルロスは少し考え込んで首を振る。 「いいのか?」 「いつまでも、隠しておけることじゃないから」 苦く笑って、マルロスは服に手をかける。 その服の下に現れた身体を見た仲間が、息を呑んだ。 包帯に多少隠れてはいるが、酷い傷跡が無数にマルロスの身体に這っている。 痛々しげな表情で、チョッパーは包帯を解いて背中の傷を確かめる。 傷跡の全貌を見て、ウソップが顔をしかめて呟く。 「……ひでェ………」 「……見ていて、気分のいいものじゃないだろう?」 何処か自虐的にも思える笑みを浮かべたマルロスに、ウソップは自分の失言に口を押さえる。 マルロスの傷跡を見て、ナミ以外のクルーはチョッパーが仲間になってすぐにした健康診断の時、マルロスが部屋でやりたいと言った意味を悟った。 マルロスの綺麗な顔とは不釣り合いな、生々しい傷の跡。 斬り傷に火傷の跡、何か獣の爪で裂かれたような跡。 身体を縦横に走る酷い傷跡に、軽々しい言葉をかけるのは躊躇われた。 沈黙が流れる中、チョッパーが傷の手当てを済ませて包帯を巻き直し、マルロスは傷を隠すように手早く服を着る。 [*前へ][次へ#] |