[携帯モード] [URL送信]

広い世界の夢物語


「マルロスが病気にならないことは判ったけど、怪我をしないわけじゃないんだろ?だったらやっぱり一応やっておこうよ」

「…………判りました。でも、下の男部屋でいいですか?あまり人前で服を脱ぎたくないんです」

心配げなチョッパーの言葉にマルロスは頷くも、ルフィ達のように甲板での診断は嫌だと首を振る。
その言葉に首を傾げながらも、チョッパーは頷いて先に男部屋に下りると、後に続いたマルロスに振り返る。
きっちりと部屋の入り口を閉めてから、マルロスは着ていた服を脱いでいく。
部屋の明かりに照らされ、マルロスの身体が露になる。

「あ…………」

酷い傷跡が縦横に走るマルロスの身体に、チョッパーは目が離せなくなる。
斬り傷だけでなく、火傷の跡や何かに引き裂かれたような傷跡の残る身体は、綺麗な顔とはあまりに不釣り合いで。
この傷跡が、マルロスが人前で服を脱ぎたくないと言った理由だと、チョッパーは嫌でも理解した。

「………見ていて、あまり気分の良いものではないだろう?」

だから甲板は嫌だったんだ、とマルロスは苦く笑う。
いつまでも隠しておけるとは、マルロスも思っていない。
だけど、出来れば知られたくないとも思っている。

「……今は、何処も痛くないんだよな?」

「あぁ」

そっとマルロスの傷跡に手を添えて、チョッパーは悲しげな表情を浮かべる。
マルロスが命を落としたのは、この傷が原因なんだと判ってしまったから。
命を落とした理由までは、マルロスは話してくれなかった。
正確には話せなかったのだが、チョッパーは何となく察してしまう。
きっとマルロスのことだから、大切なものを守るために戦ったんだろう、と。
そんなことを言い切れる程、まだマルロスのことは知らないけれど、そう自然と思えた。

「あぁそう言えば、昨日雪崩に巻き込まれた時に骨を少しやられたみたいなんだ」

「えっ!?何でそんな大事なこと忘れてんだよ!!」

悲しげな表情を一転、少し怒ったような表情に変わったチョッパーに、マルロスは困ったように笑う。
ソファに座らされ、チョッパーの診察を受けながらマルロスは苦く笑った。
まるで自分のことのように悲しむチョッパーに、命を落とした時のことなど話せない。
優しすぎるくらい優しいチョッパーに、悲しんでほしくなかったから。


 

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!