伝えて、 ぼーっとして、授業の合間の休み時間を過ごす。 …眠いなぁ… 「ねぇねぇ、聞いてよ。 こないだ付き合い始めた彼氏が何もして来ないんだよねー。 どう思う?」 「どう思うって言われてもなぁ… そんだけ大事にされてるか、興味ないかじゃねぇの?」 ふ、と自分のクラスで耳に入ってきた何気ない会話。 そういえば、自分も何もされてない事に気付いた。 …辰巳って…そういえば何もして来ない…されたとしたら、脱がされたぐらい…? キスさえ、されてない。 …それって…どうなんだろう。 …大事にされてるって…言えるのかなぁ…? 多分、辰巳に聞いたらちゃんと返事してくれるとは思うけど… 怖いよ…。 ××××× 「…南雲…具合でも悪いんですか?」 悠也が心配そうに見てくる。 別に、具合は悪くないんだけど… 「ううん、そんな事ないよぉ?」 「「本当にぃ?顔色悪いよ〜?」」 そんな事はない、と言うものの、初と結にまで顔色が悪いって言われる。 …そんなに顔色悪いかなぁ…? 「…南雲、今日は帰れ。」 「…でも、」 辰巳まで? てゆーか帰れって…仕事残ってるんだけど… 「でもは聞かない。 今日は休んでおけ。」 「…はぁい。」 ここは大人しく帰った方がよさそう… はぁ…具合は悪くないのになぁ… ××××× 自室に帰って、ベッドに飛び込んだら、急に体がだるくなってきた。 …もしかして、熱でもあるのかなぁ…? 体が熱い、それに寒い。 なぁんだ…風邪かぁ…。 なぁんて思いながら、いつの間にか意識を飛ばしていた。 ××××× 怖いよ…やだ、みんな… 置いて行かないで… 真っ暗な中で泣き続ける少年。 あぁ、またこの夢か… その少年と、同じくらいの年齢の少年や、多少上ぐらいの青年が倒れ、倉庫のような真っ暗な場所に閉じ込められている。 ごめんなさい、俺のせいだ… みんな、しっかりして…!! 鍵が閉められていて、ドアを蹴っても開かない。 …この少年は、俺。 今から一年ぐらい前の出来事。 俺は、多分敵であるチームのヤツに捕まってしまった。 それをエサに、他のメンバーを呼び出したソイツらは… 「やだぁっ!見たくないっ!!」 「南雲!? 起きろ、俺だ。」 肩を揺さぶられて目が覚める。 「辰、巳…?」 「ああ、そうだ。 大丈夫か?相当魘されてたぞ。」 …一番最初に目に飛び込んできたのは、心配そうに歪められた辰巳の顔だった。 「なん、でここに…?」 「様子が可笑しかったから、心配で見に来た。」 「辰巳ぃっ…」 大好きだよ、本当。 俺に何かあった時は、必ず来てくれる。 王子さまみたい。 感極まって、抱き着いた。 「…どうしたんだ、そんなに泣いて…言ってみろ、聞いてやるから。」 「ぐすっ…うん、 俺ね…」 実はあるチームの総長をやっていた事、族潰しを始めたのもやったチームを探す為だった事を話す。 その間辰巳は、俺を抱き締めながら頭を撫でてくれた。 「…そうか、お前がいなくなったのはアレが原因か…」 「…アレって…、辰巳その時居たの!?」 …まさか…? でも、そんなはずは… 「…馬鹿、お前忘れたのか? 倉庫の扉開けた途端に、抱き着いて来たのはどこの誰だったか…」 「…あぁ!アレか! ってそしたら俺、辰巳に抱き着いてたの!?」 「…じゃなかったら誰だと…?」 …確かに似てるけど… あの時、いきなりドアが開かれて、ドアを必死に叩いてた俺は、外に放り出されたような格好になった。 そしたら、背の高い、カッコイイお兄さんが抱き止めてくれて、大丈夫か?って聞いてくれたんだっけ… 「…金髪だったよねぇ…?」 「…染めてた。 今は元の色に戻してある。」 あの人、辰巳だったんだ… 「南雲、チームのメンバーに連絡取ってやれよ? まだチームは残ってんだから。」 「え…」 「お前がいつでも帰って来れるように、って残してあるらしいからな。」 そんな…みんなを傷付けた原因は俺でもあるのに… 「皆、お前の事を憎んでなんかいなかったぞ。 寧ろ心配してた。」 「…今度、連絡してみる…」 何度も連絡しようか悩んで、やめてた。 けど、今回は辰巳がいるから大丈夫そう。 「あぁ、そうしろ。」 「うん、 あの…辰巳、質問があるんだけど…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |