麗諒戦闇
失った物
騒ぎは治まった。
しかしそれは表面上だけ。
そんなのすぐ俺にはわかった。
様子がおかしかったんだ。
母さんも、組織の幹部も。
明らかにいつもとは違った。
笑ってはいるものの、作り笑いだし、何だかそわそわとしていて落ち着きがなかった。
そして大樹の事を聞いた瞬間周りの空気が凍りついた。
確実に何かあったのは大樹なんだろう…
「母さん…大樹に…何かあったのか?」
「…」
その場に沈黙が流れる。
次の瞬間母さんが放った言葉は俺にとって信じられないものだった。
「…クロウが……………」
「何があったんだよ!?なぁ!?」
今にも掴み掛かりそうな俺を華蓮が押さえる。
「華夜!落ち着きなさい!」
「落ち着いてなんかいられるか!」
暴れる俺と必死に俺を宥める華蓮。
「…いなくなったのよ…」
母さんは“死んだ”や、“怪我で昏睡状態になった”ではなくいなくなったと言った。
しかし不安は消えなかった。
連れ去られたのか逃走したのかがわからない。
もし逃走したというなら何のために?
そして大樹が行方不明になった2ヶ月後、俺のせいで組織が襲撃された。
×××××
目の前にいるのは、いなくなったはずの人かもしれない。
しかしそれと同時に別人だったらどうすればいい?
一体どうすればいいのか俺にはわからなかった。
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