翼をください。
ハジマリとオワリ
「…あの、マーくん?」
「ん?」
僕が顔を上げると、彼女はまた少し不安そうな顔をしていた。
「マーくんには見てほしい。私の、今の姿。」
そう言った彼女の目には涙が溜まっていて 相当悩んでいたんだろうということが分かった。
「うん。」
彼女は着ている上の服をどんどん脱ぎ出した。
初めは焦ったが、すぐにその違和感に気付いた。
背中に何かがある…。
その何かはもう分かりきっていた。
翼だ。
彼女は震えていた。
それは下着だけになって寒いのか 泣いているのかは分からないくらいの震えだった。
背中には、真っ白い翼が羽を休めるようにたたまれている。
「これが…。」
「ちょっと待ってね、今…羽を広げてみる。」
そんな事までできるのか…。
でも僕は何も言うことができなかった。
ただただ、
どんどん翼を広げる彼女を見て
綺麗だ と思った。
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