翼をください。
ハジマリとオワリ
「マーくんは…信じてくれる?」
「…何、を?」
「私…翼が生えてしまったみたいなの。」
「え?」
はじめは何て言っていいか分からず、笑ってしまった方がいいのかとも思ったけど
彼女があまりにも真剣な顔をしていたから、本気で聞いているのだと分かった。
翼が生えてしまった…か。
「…正直…信じがたい。けど、僕は優希を信じてる。だからその事も信じる。」
「マーくん…。」
「でも、どうして急に…?」
「うん…私にも分からないんだ。でも、やっぱり今のところ怪しいのはあのバイトの説明会かな…。」
注射をすれば翼が手に入るっていう怪しいバイトの話しか…。
でも優希は注射はしなかったはずだ。
「注射は本当にしてない。もしかしたら…あの説明会の時出されたコーヒーに何か入っていたのかもしれない。」
「…なるほど。その説明会行なった場所って覚えてる?」
「もちろん。明日行ってみようと思ってるの…。」
「僕も行くよ。」
僕の言葉に彼女は焦って「いいよ」と言った。
「優希。君の背負っているものを、僕にも背負わせて。」
「…もう、こんな時だけそんな恥ずかしい言葉言えるんだから…。じゃあお願いしてもいいかな?」
「当たり前だろう」
僕がそう言うと、優希はニッコリ笑った。
「ありがとう。実はその方が心強いんだ!」
彼女はさっきより元気が出てきたみたいで嬉しかった。
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