翼をください。
ハジマリとオワリ
―――…彼女は泣き止むと、ゆっくり話しだした。
「私…小さい頃からずっと翼が欲しいって思ってた。だって空を飛べるなんてとても素敵な事だと思うし。」
そう語る彼女はどことなく嬉しそうな顔をしていた。
「でも…」
だがその言葉を発した途端に彼女の顔は哀しみをおびだしたように見えた。
彼女の言葉が気になって 僕は「…でも?」と先を施した。
「翼なんて…いらない。」
「…え?」
彼女の口からこんな言葉が出てくるとは思わなかった。
「どうしてそう思うの?」
「…私も驚いてるんだ。あんなに翼がほしいって思ってたのに…。」
彼女は何かを決心したかのように、僕を真っ直ぐ見つめた。
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