小説
神の憂鬱! 12
『…おい神』
「…何だね、中島くんに負けじと良いことを言おうとしている磯野くん」
ちょ、バレてたw
でもそれだけでないのも事実だ。
『お前さっきからの態度はなんだ?』
「は?何が不服なのだね。大体今は関係ないだろうそんな事。」
『関係ねぇ?ふざけんな。お前は誰だ?姫さんの父親か?違うだろ。お前は神だ。そこの母ちゃんの子供で、姫さんの大事な妹だ!』
「…私が神であっても父親であっても変わりはない。実際姫たちも私を“お父さん”と呼ぶ。」
神は何故こんなに自分が家では“お父さん”であることに執着するのか…
なんだか悲しくなってくる。
『呼ばれるから父親になる?なら“神”はどこに行くんだ。俺はお前を“神”と呼ぶ。それでもお前はまだ父親気分でいるのか…?』
「そ、それは…。」
『お前は誰だ?お前はどっちの自分でいたいんだ…神!!』
俺の問いかけに、まるで電気が流れたかのような表情をしている神。
「神ちゃん…」
中島が呼ぶ。
「神…。」
神のお母さんが呼ぶ。
「…神…。」
姫さんが、呼ぶ。
神はうつむきながらさっきまで自分が座っていた座布団にまた座る
『…神?』
俺が神の名を呼ぶと、神が バッと顔をあげた。
その顔は、いつもの悪い事を考えている時の顔だった
「くっくっく…!私を呼んだからには話は最後までさせてやろうではないか!!後悔しても知らんからな!!」
そう言ってニヤリと笑う神だが、さっきまでのどこか無理をしている感じが抜けていて安心した
『そうこなきゃ俺も面白くねぇぜ!!』
「うん、やっぱ神ちゃんはこうでなきゃ!」
「ふんっ。貴様に聞いてやろう、王子さんよ。アンタは何故お姉ちゃんを好きになったのかをな!」
「ああ。言わしてもらうよ、神ちゃん!僕は、姫の純粋で心優しいところに引かれたんだ。姫はいつも君の話ばかりしているよ!自慢の妹だってね」
…自慢の妹、か。
王子さんは中身までイケメンだ!!
いい人!!!!
「ふ…ふはははは!当たり前よ!!気に入った!貴様、名は何と申す!?」
ちょ、さっきから言ってんだから知ってるに決まってんだろw
「僕は王子!お医者さんだぉ☆」
あれ、こんなキャラだったっけこの人。
「私はお姉ちゃんをお嫁にいかせるのが寂しくてたまらない…ああ、認めよう!貴様にこの気持ちが分かるか?」
「僕にも弟がいるけど…その気持ちは分からないと思う。その気持ちは神ちゃんだけにしか分からないよ。」
『王子さん…。』
「…因みに、どんな弟さんなんですかぁ?」
中島がそう聞くと、王子さんは苦笑いをして言った。
「何を考えてるか分からない奴だよ。でも最近はなんだか楽しそうで…多分、君らと同じくらいの歳じゃないかな?」
王子さんの弟…
さぞ中身もイケメンでちっさいんだろうなぁ!
見てみてー!!
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