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小説
例的な話! 8





<神の場合>


「ぎゃははははは」

「よっちゃんぱね〜」

「んでよ、そいつから財布ごと巻き上げた金で今日は俺がおごってやんよ」

「ぎゃははははは」



前から歩いてくる不良に、神はイラついていた。

テレビで見た可愛らしいキャラクターが盗作だと訴えられているのを知り、むしゃくしゃして家を飛び出した。

そんな中道を歩いていると、うるさい不良が神の前からやってきたため怒りが沸々と沸き出していた。



そして神と不良が通りすぎた…――――





と思った瞬間、事件は起きた。






――――ドシャァアッ





神の横を歩いた、よっちゃんと呼ばれた不良が転んだのだ。
もちろん、神が足を引っ掻けてやったからである。



「って…てめぇ!!」

「よっちゃん大丈夫か〜!?」

「ぎゃははははは」



予想はしていたが、神はあっという間に不良に囲まれた。


「どー責任とるよ…ぁあ?」

「待てよよっちゃん〜コイツ結構美人だぜ〜」

「関係ねぇぶっ飛ばす」




不良が神の胸ぐらを掴んだ時、神は不適に笑った。


「貴様ら、塗り固めているな」

「…は?」

「貴様らは嘘で塗り固められている」




キッと睨んだ神の目が、人のそれとは違い、思わず不良は胸ぐらから手を離し一歩後ずさった。


「くくっ、私には分かるのだよたかが人間共め。」

「な、何言ってんだ〜コイツ?」

「いいか愚民共!不良なんて仮面被って格好つけるなんて大馬鹿野郎だ!!」

「…」



神はよっちゃんに指を指した。


「貴様、本当はアニメヲタクだろう?そういえば財布ごと巻き上げたと言っていたな…もしかして、アニメのキャラでも描かれてたんじゃないのか?」

「な、何を馬鹿な……。」

「そういえばそんな髪型のアニメキャラを知っているな。」

「ぐはっ!!」

「貴様ホントは2次元にしか興味を持てない変態野郎なんだろぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「いやぁあああぁぁああああああああああああ!!!!」

よっちゃんの声が響き渡る。




残り二人の不良に向き直る神。
その顔はとても愉快そうだ。



「ふん。貴様はアイドルヲタクといった所だな。」

「な、なんでそれを〜〜!」

「貴様は実は勉強が大好きなんじゃないのか?」

「ぎゃ……ぎゃはっ…………ぎゃはは…………………………自分、実は教師を目指しています…」

「「!」」



「くくっ…そうだ、自分を出せ!そしてその趣味を、実の姿を認め合え!!貴様らならできる!!同じ道を踏み外した貴様らなら、できる!!!!」



「……………っ」

「ぅっ…ぅう」

「…………!」




一瞬の間がその場を固まらせる。
その時間は、まるで何時間にも感じられた。


「ぁ…あんた、いや…あなた様のお名前は…?」


「…ふっ。人はみな私をこう呼ぶ……………………“神”と。」









不良たちの目から涙が溢れ出た。



「「「か、神様ぁあああ!!!!」」」








それから不良たちは本当の姿へと変わり、趣味へと没頭するようになった。


そしてあの日から、神の舎弟が3人増えたとかなんだとか…………。



 

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