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小説
砂座江伝説! 11



『てか、なんで花子さんなのに男子トイレにいるんだ?』

「愚問だな。女子トイレは陰気臭いし、オナゴというのは恐ろしいからな。」

『は、はははは…。』


そういうアンタもオナゴの一種だがな!


「しかし貴様、よく我輩を見て逃げなかったな。そこは褒めてやろう。」

『…ども。』


怖くて足が動かなかったとか言わないでおこう。


ふと手元を見ると、俺は持っていたメモ帳の存在を思い出した。


『あ、やべっ!そろそろ戻らねぇと!!』

「そ、そうか…。」

『じゃあな、花子さん!』



トイレから出ようとする俺を、花子さんは呼び止めた。


「ま、待て!」

『ん?』

「貴様、名をなんと申す…。」

『磯野だ!』

「そうか…。」


花子さんは俺を指差し、人を見下すような視線を向けて言った。


「まぁ覚えておいてやらんこともない。だが、貴様がもう来ないと言うのならすぐにでも我輩は忘れてしまうのだからな!ホントだぞ!?」


なんだかんだ偉そうな事を言っているが…。

もしかしたら、ずっと一人で寂しかったのかもしれない。


『ああ!また来るぜ!!』


そう言ったときの花子さんの嬉しそうな顔を、俺は忘れないだろう …―――――


 

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