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小説
夢見クローバー。 15




そして約束の朝早く、私は家の前でお父さんが来るのを待った。

約束の時間は午前6時。私は眠れなかったため、早くに出すぎてしまった。


少し散歩でもしよう。もしかしたらもう…ここへは来ないかもしれないのだから。


私は…誰にも何も言わずに消えるんだ。

みんなどう思うかな?寂しがってくれるかな…。

でもきっと、すぐにいつも通りの日々がやってくる。何でもないような、退屈な日々が…。


あれ。あはは、退屈とか言って…そんな日々が私は大好きじゃないか。


溢れ出そうになる涙を抑えながら、私は歩いていると見知った顔を見かけた。






「…スマイルくん?」

「!?」


目の前にいた人は驚いて私の顔を見る。
やっぱりスマイルくんだ。


「え、散歩…?」

コクッと頷くスマイルくん。こんなに朝早くから散歩なんて……おじさんみたい。


「いつもこんな早くに?」

「いや、別に…。神さんは…………。」

私の大荷物を見て、スマイルくんは黙り込む。

私も言葉を失ってしまう。


暫くの沈黙を破ったのは、意外にもスマイルくんだった。

「どこに…行くの?」

「……お父さんのとこ。」

「?……そう。」


また沈黙。



――チャリン


音に私はハッとする。ポケットに入れていたストラップを手にとって見る。


「…それは……。」

「これ、スマイルくんにあげるよ。」

「!なんで…?大切な物じゃ、ないの?」

目を反らしながらそう言ってくるスマイルくんの手を無理矢理とってソレを乗せる。


「大切だけど……もう、いいの…。私が持ってたって…何も、起こらないから。じゃ、私行くね。」



そう言ってスマイルくんに背を向けて歩き出した。


 

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