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小説
夢見クローバー。 14






―――バタンッ

家に入ると、お姉ちゃんが優しく笑って出迎えてくれた。


「神……さっき部屋で何をしていたの?」

「…別に。」

私がお姉ちゃんの横を通り抜けた時に、お姉ちゃんが「あっ」と声をあげた。


「そうそう、神!これを磯野くんと中島くんに差し上げて。こないだはありがとうって……お礼よ!」


そう言って手渡してくれたのは、3枚の遊園地へのチケットだった。











部屋に着いて、チケットを鞄に仕舞おうとした時に気付く。

掌をゆっくり開けると、四葉のストラップがあった。

私はそれを鞄につけた。









……――――


それからはあっという間だった。

チケットを渡して、成り行きで私も一緒に行って……。

正直、コーヒーカップに乗るのは怖かった。誰か居なくなるんじゃないかって。

でも大丈夫。









居なくなるのは私だったから。








持って行く荷物なんて、服くらいしかないから準備が楽だ。

ふと、四葉のストラップに目がいく。



「…嘘つき。助けてなんてくれないじゃん。」



別に望んでなんてない。そんな女の子のような、夢のような思考なんかしていない。


でも私は知っている。本当の嘘つきは…………私自身だ。


いつも嘘で塗り固められている。



別に辛くない。
辛いよ…。

苦しくない。
すごく苦しい…。

寂しくない。
寂しいに決まってるじゃん…。

行けばみんなが幸せになれる。
行きたくない…。

助けなんか来ない。
そんなの知ってるよ…。









でもお願い、誰か…誰か助けて……。



 

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