小説
休日パラダイス! 12
――― カコンカランッ
乾いた音が響き渡ると、中島と神の目が合う。そしてニヤリと神が笑った。
「って、完全負けじゃねぇか神!!;」
予想外の弱さだった。
中島の放つホッケーを、神は身体こそ反応するものの、一度も返すことは出来なかった。
「ほら、言ったじゃん。“ッ”と“ー”の両方が含まれる競技は苦手なんだってば。」
『何その理由!!?;』
「良かったぁ。磯野にだけはアイス奢ってやりたくなかったからなぁ。」
『え、何それ。どうゆう事、ねぇ、中島さんんんん!?』
「ねぇ磯野。」
神が真剣な顔をして俺に声をかける。
『どうした?』
「折角だ。最後はジャンケンで勝敗を決めよう。」
『どこら辺が“折角”!?いやダメだからね?;』
チッと舌打ちする神と勝てた事に喜んでいる中島。
……今更だけど、ホッケーでこんなになる高校生ってどうよ?
「もういい分かった。そこまで言うのならやってやろうホッケーを。」
『いや、うん、まぁ、どうも。』
俺と神は正面の位置に立つ。ホッケーは神の方側からカランと出てくる。
それを台の上に乗せてニヤリと微笑んだかと思うと、神は言ったんだ。
「あ。私、アンタの秘密知ってるから。」
.....
一体それが何の事か全く分からなくても、気になってしまうのは当たり前じゃないですか。
「よし、磯野に勝った。」
そう言ってピースをする神。
『くっそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』
この悔しさと虚しさは何だろうか。泣きそう…!
「あっ、でもぉ、皆一勝一敗だねぇ。」
『「あ。」』
俺らは仲良く自分で買ったアイスを食べたのだった。
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