小説
正義のヒーロー! 9
「…………のに。」
少女は何かを言うが、僕にはもうその言葉が聞こえない。
――ダダダダダッ
「…ん?」
後ろから物凄い音がしたと思うと同時に、背中に衝撃が襲った。
――ドォオオオオンッ
「んなあ゛ぁああああ!!!?;」
いきなり突進してきた少女が僕の背中に抱き付く。
「っ、なにするん…………っ!!?」
泣いている。
少女は震えて、嗚咽をもらす。
…僕にどうしろってんだよ……。
「……に。…あんなに…格好良かったのに…っ!」
「…はぁ?」
少女はガバッと顔を上げる。僕は横目にしか確認出来なかったが…少し、怒っているように見えた。
「私をたすけてくれたとき、ホントに格好良かったのに!今のお兄ちゃん…格好悪い!!」
「なっ…。君を助けた時も今も、変わらないだろ。」
僕の言葉に、少女はブンブンと顔を横に振る。
「違う…ぜんぜん違うもん!そんなお兄ちゃんやだ!キライ!!」
少女はそれだけ言うと、僕から離れて泣きながら走り去って行った。
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