小説
正義のヒーロー! 7
サァアアア...
…小学生にしては良い場所を知っている。
そこは、この町の風景がよく見える丘の上だった。今の時間は夕陽がかっていて、とくに綺麗だ。
「はい、お兄ちゃん!」
少女はそう言うと、僕の分のお菓子を渡してくれた。
「……ありがとう。」
チラリと少女を見ると、練りあめを白くなるまで割り箸で練って食べていた。
僕も同じようにして食べる。
「ぁ…おいしい。」
「でしょ!このフウケイを見ながら食べるのが私はとくに好きなんだ!!」
「…ふーん。」
…こんなに穏やかに過ごした日は久しぶりだな……。
いつもは喧嘩三昧だった。いくら勝っても、いくら殴っても何かが満たされなかった。
なのに。
安っぽい練りあめ1つで、こんなに安らかな気分になれるもんなんだ…。
ふと気が付けば、辺りはもううっすらと暗くなっていた。
「…君、帰らなくていいの?暗くなってきたよ。」
「わっ、ホントだ!今日はもう帰るね!じゃあね、お兄ちゃん!!」
「あ、ちょっ…。」
少女は足早にその場から去っていった。
一人残された僕は、丘の上に寝そべり空を見上げた。
「…今日はって何だよ。もう会わねーよ。」
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