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小説
正義のヒーロー! 5




「あしたは土曜日でしょう?今日お兄ちゃんがたすけてくれた所に1時に待ってるね!」

「なっ…勝手に決めるなよ!僕は行かないし…君も来ちゃダメだ。あそこら辺は不良の溜まり場なんだから!!」

「でも、お兄ちゃんがきてくれれば安心だよ!」

「……っ!僕は行かないからな。」


そして少女に背を向けると、足早に歩き出す。
それでも少女は僕に声を投げ掛ける。


「あした、待ってるからね!!」
















あの少女は何も分かっていない。血の鬼狼と呼ばれる僕があんな子供のために町へ出るような奴である訳がない。

そりゃあそこら辺の場所は危ないって有名だとしても…

そこへ純粋な少女が一人僕を待ってるとしても…




僕は…僕は…











来ちゃった。



物陰から様子を伺ってみたけど、やっぱ来てるよあの子!バカだよ!!

今時の小学生はみんなそうなの!?ねぇええええ!!!!;


そんな事を考えている内に、少女に狙いを付けて何やら話合っている奴等がいる。




…ヤバい…。


僕は少女の元へ向かい、手をひいてこの場を素早く去る。

広い道に出ると、僕は少女に怒鳴り散らす。


「何でのこのこ一人で来てんだ!あそこは危ないって言っただろ!?」


あっけからんとした顔をする少女。そして僕を指差した。


「でも、お兄ちゃんがきてくれたわ!」

「だから、もし僕が来てなかったら君は…」
「でも、きてくれた。」

「…………。」



……まったく。無垢な笑顔には何も言えなくなる。




「はぁ…。じゃ、僕は帰るから。」

「なんで?お礼をさせてよ!」

「……面倒臭い。」


僕がそう言うと、少女は泣きそうな顔をする。

「分かった…ならわたしはまたあの場所に行くもんね。」

「なっ!!?;」

「……じゃあね、お兄ちゃん…。」



僕らが走ってきた方向へまた戻り出そうとする少女。


「――っ、分かった、分かったよ!」

「ホントに!?」


そう言って振り返る少女の笑顔は、とても輝いていた。



 

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