小説
正義のヒーロー! 4
あれ以来、兄貴とも両親ともあまり話す機会が無くなった。結局兄貴のPSPも、僕がまだ持っている。
そんなある日。
僕が町を歩いていると、高校生くらいの男達に囲まれた小さい女の子がいるのを発見した。
「オメー、ぶつかっといて謝んないとか良い度胸してんじゃん?」
「あーあー、ぶつかったとこマジ痛ぇわー!」
「す…すいません……っ。」
「すいませんじゃ済まされねっつぅの!!慰謝料出せやオラ!!!!」
「ひっ!」
カッコ悪い。
そう思うと同時に、身体が疼く。
僕はただ、目の前にいるコイツらを早く殴りたかった。
瞬殺と言っても過言では無かっただろう。少女はまだガタガタと震えて腰を抜かしている。
僕はそれを一瞥すると、その場から立ち去ろうとする。
「ま…まっぺ!!」
!!!!?;
少女が急に発した大声に驚いて振り返る。
いや、それより…まっぺって何!?;
「あ、た…立てなくて……お兄ちゃん、おんぶして!」
「……っはぁああああああ!!!?;」
まぁ結局僕はその少女をおんぶして家の近くまで送ってあげてる訳だけど…。何で僕に頼むかな。
「お兄ちゃん…ありがとう。」
「はぁ?そう思うなら歩けよ。」
「そうじゃなくて…さっき、たすけてくれて!カッコよかったよ!!」
「…………あっそ。」
この少女の為ではなかったのに、純粋な笑顔を浮かべて言われると否定する気が失せる。
「ここでいいわ!ありがとう!!」
少女を下ろすが、なかなか歩き出さないでこっちを見ている。
「……何?」
「お兄ちゃんにこんどお礼がしたいんだけど…。」
「いらないよそんなの。君、知らないの?血の鬼狼って言われてる怖い奴って、僕の事なんだよ?」
「ちの…きたろう?」
「違うよ。」
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