小説
恋よ来い! 10
俺は目を瞑って考える。
今の俺の中での大切な人。その答えを見つけた俺は素早く走り出す。
行かなくちゃ!
俺は校舎へ向かって走る。校庭へは行かない。
階段を駆け上がる。1階2階3階4階と。
そして俺は、たった一つの扉の前で立ち止まる。
それは神のいる校庭でも、ゴリ子のいる図書室でも、メガネのいる教室でもない。
屋上だ。
そこに居るはずだ。俺のみつけた大切な人。
――ギィィ...
立て付けの悪い扉を開けると、俺の想像した通りの光景が広がっていた。
そこには、俺の大切な人が…いや、大切な人達がいる。そんな気がしてた。
メガネもゴリ子も、中島も神も。俺の人生で関わってきたみんながそこにいる。
そう、俺はみんな大切だ。
例えそれが恋人になりたいという“好き”ではなくとも、確かにこれは愛だと思う。
みんなは笑顔で迎えてくれる。それを見て思わず俺も笑顔になる。
ここが一番安心する、俺の居場所なんだ。
そう痛感していると、神が俺の目の前までやってきた。
「磯野、ちゃんと気持ち…伝えてあげてね。」
『ああ。』
俺がそう応えた瞬間、俺は神に頬を思いっきり叩かれた。
―――パァアアアンッ
『いってぇええぇぇええええええええええええ!!!!;』
そして俺は夢から目を覚ました。
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