小説
恋よ来い! 8
「でも。」
ゴリ子の声が1トーン低くなる。
「大切な友達っていうのは…複雑だなぁ……。」
『な、何で…だ?』
俺がそう言うと、ゴリ子は困ったように笑って答える。
「だって、私は磯野くんの事が好きなんだもん。私…磯野くんの彼女として、大切にされたいな…。」
『っ…。』
答えはすでに決まっているはずなのに、俺は口に出さない。出せない…。
ただ無言を貫き通す。
「もし私をそういう意味で“大切”に思ってくれるなら…3階の図書室に来て!…待ってるわ。」
そう言ってゴリ子は、俺の手から自らの手を離した。
すると、またさっきまでの教室に戻ってきている。今俺の目の前にいるのは、神一人だ。
「…磯野?」
俺を心配する神の顔を見ると、急に悲しくなった。
『お前は…違うよな?』
「?一体何が……」
俺の頬っぺたへ触れようとする神。
瞬時に思い出す。今まで、触れたからあんな事になったんじゃないか?
『っやめろ!!!!』
教室中がシンとなる。神も驚いた顔で俺を見据える。
『あ、わ、悪い…。今は俺に触って欲しくないんだ…悪い。』
「あ、謝るな。こっちこそゴメン…。」
『いや…。』
嫌な空気が流れる。それを破ったのは、中島だった。
「なぁ磯野ー。」
『あ、な、何だ?中島!』
「俺ぇ、お前の事好きだよぉ。」
『…へ?』
「何言ってんだ!俺の方が磯野の事好きだぜ!?」
「いいえ、私の方が好きよ!!」
『へ?へ?』
いきなりクラス中の奴等が何故か俺に告白をしてくる。
ちょっ…マジで何なんだ…!!!?;
頭の中がぐるぐるする。何が正しくて何を信じなければ俺は楽になれるんだ!?
「磯野!こっち!!」
とりあえず、みんなの声を遮って聞こえた声の方へ俺は走った。
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