ネタの収集がつかない 駆け引きは終わらない 「なぁイクティノス、実は私には好きな奴が居るんだ」 「奇遇ですね、私も好きな方がいらっしゃるのですよ」 これは恋の駆け引き。 どちらが先に堕ちるかの、行く先が見える勝負。 「私が愛して病まない方はとっても可愛らしい方なんですよ。意地っ張りで強がりで、だけど人一倍周りを気に掛けている方なんです。しかも泣き顔は最高です」 「私の好きな奴はなぁ、年下のくせして口が悪くて頑固者で、神経質でキレやすくて鬼畜野郎なんだ。だが、あの手で優しく髪を撫でられたら、何もかも許してしまうんだ」 互いに好き放題言い合って、その言葉一つ一つに照れて腹を立て、 笑い合う。 「鬼畜とは酷い言われようですね、彼。でもそれは愛故に、ですよきっと」 「いらん愛を押し付けるんじゃない。しかしそいつはお前みたいな変態が相手じゃ、お前の前で二度と泣こうとは思わんだろうな」 嫌味を言うように、口の端を上げてくつくつと笑う。どちらが先に、面と向かって愛してる、と呟くのだろうか。 彼らはその勝負をしている。 「年下には手をやく」 「年上の方はキレやすくて困ります」 呆れながら、互いに目を合わせながら言う。 「それでも、好きなんでしょう?彼の事が」 「お前こそ、好きなんだろう?」 絶対に好きだなんて言ってやらない。口が裂けたって、世界がひっくり返ったって言ってやらない。 互いが堕ちる迄 fin. [*back][next#] [戻る] |