エロスが降臨しない件
ブーゲンビリア
『ろくなことしない』の続きみたいなもん。
朝ジェイドが起きてみれば頭の上に耳がついていた。その耳は白くて長い、ウサギの耳だった。先日のピオニーのハロウィンの仕返しだろうか。
「おいこらウスラトンカチ!何様のつもりだ!」
「ちょ何すrくぁwせdrftgyふじこlp;!!」
ジェイドは寝間着のままピオニーが寝ている私室へずかずかと上がり込み、尚且つ胸倉を掴み往復ビンタを食わせた。
「痛い…!痛いって!」
「黙らっしゃい!…ったくなんてもの生やしてくれてんですか!」
「ワタシシラナーイ」
ジェイドは本気で怒っているのにも関わらず、ピオニーは自分が犯人であるのに知らない素振りを見せようとする。そんなピオニーに次は腹に一蹴り入れてやった。
「ぐはぁッ!に、似合ってるのに…」
「うっせぇ元に戻しやがれ」
「ジェイドさーん、口調が崩れてますよー」
寝起きのせいでもあるのか、ジェイドは敬語を使う事なく怒りを表にしている。いつもなら敬語なのに、とかまぁ、ピオニーに対する敬語は殆どわざとらしいのばかりなのだが。
「誰だよ不機嫌にしたのは」
「ハーイ俺でーす」
もう一発腹に入れて、痛さにうずくまるピオニーを一瞥してベットから降りる。
「…どうすれば元に戻るんですか?」
「んー、俺の気まぐれ?」
死ねと言わんばかりにジェイドの槍がピオニーに向かって飛び、間一髪でそれを避けたピオニーだったが槍は柔らかなベットに突き刺さり羽が飛び散った。
「えらく短気だなぁ?なんだ、生理か?」
「死にさらせ」
途方もない喧嘩をしていると部屋がノックされ、金髪の青年が顔を出す。
「陛下ぁー、朝ですよーってあれ、ジェイドのだん、な…?」
「ガイ…!み、見ないで下さい!」
突然の来訪者がピオニーに朝を知らせにやって来た。ガイと呼ばれたその青年はジェイドを見るなり驚きが隠せない様子で、目を点にしたままだった。ジェイドはピオニー以外に目撃された事によって頭に生えた耳を隠そうとしたが、長くて白い耳はジェイドの手では隠しきれなかった。
「陛下、一体何を……」
「昨日の仕返しに、って所だな」
そうピオニーに言われガイはこの時、本当にこの馬鹿皇帝はマシな事をしないな、と思った瞬間であった。
「で、ウサ耳ですか…」
「似合ってるだろう?」
今のジェイドにそんな事を言ってしまえばどうなる事やら…、それを十分承知しているガイは口には出さず、心の中で似合っていると訴えた。
「陛下、これではいくらなんでも仕事が出来ません。元に戻るまで休みにしろ」
いつもの冷静さを取り戻したかと思えば最早命令系で、嫌そうな顔をしたピオニーだったがまた胸ぐらを掴まれたので仕方なしに承諾したのだった。
「ガイ、すみませんが何か被るものを持って来て頂けませんか?これじゃ外にも出れない」
「おう、ちょっと待っててくれ。直ぐに取って来よう」
爽やかな顔で部屋を出て行ったガイを見送ると、ジェイドはピオニーに早く仕事しろと目で訴える。
あーだのこーだのとピオニーが言っている間にガイが来て、ジェイドはその帽子を被って部屋を出て行った。
「ありゃそうとう怒ってますよ」
「だな。俺も最初にお前が来る前に腹に何発入れられた事か…」
仕方ないだろ、そう思ったが言わないガイも意地が悪い。ピオニーはうさ耳ジェイドが見れたからいいもん!と言って開き直っていた。
to be continue...
++++++++++++
続きます…(´_ゝ`)
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