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エロスが降臨しない件
手ノ鳴ル方ヘA
ピオニーはというと、反動を受け背中が痛くて何日間か動けなかったらしく、ジェイドの執務室には訪れなかった。

そんなある日、久々の嵐が来たのだった。


ジェイドが執務室いない間にピオニーが侵入していたらしく、中に入ると陽気な声が聞こえ来た。

「よう、ジェイド」

「……」

「俺が寝込んでる時、な〜んで見舞いに来てくれなかった」

ピオニーが話し掛けるものの、ジェイドは無視して書類に目を通す。

「なぁジェイド、何で怒ってる」

「ピオニー」

ピオニーは滅多に呼ばれない、いゃ呼んでくれないファーストネームを呼ばれて背筋が伸びる。

「どうしてあんな真似をした」

いつもより低いジェイドの声に緊張が走る。

「あんな真似?サフィールを庇った事か?」

「死んだ真似及び私にファーストネームで呼ばせた事」

「おや鋭い」

「私とガイは貴方が鎧を着ていた事に後から気がつきましたけどね」

「あん時のお前の顔、最高だったなぁ♪」

ピオニーがからかうように言うと、顔を真っ赤にさせたジェイドが近くにあった本を投げつける。

「心配かけてすまんな、ジェイド」

ピオニーが微笑んでそう言うとジェイドは緊張の糸が切れたかのように涙を流した。

「オイオイ泣くなよ」

顔を手で覆って隠しながら泣くジェイドに腕を差し伸べ、ピオニーは抱き締めてやる。

「貴方が倒れた時、私が…どれだけ慌てたか、分かりますか?」

ピオニーの胸板に顔を押し当てて言葉を紡ぐ。

「貴方が目を閉じた時……、本当に死んでしまったのかと思って…」

肩を揺らしながら泣くジェイドの頭を優しく撫でながらピオニーは言う。

「すまんジェイド。あぁするしかなかったんだ。あの場はな。お前の愛を確かめたとか、そーゆー訳ではないからな」

「でしたら何故、言って下さらなかったのですか……」

ジェイドは下を向いたまま少しだけピオニーから顔を離した。

「言っても皆反対しただろう?」

「当たり前ですよ!!!!貴方に傷が残りでもしたら……!!!!」

ガバッと顔を上げたジェイドを優しい目で見つめる。

「やぁっと顔上げたな」

不意に顔を上げて泣きっ面を見られてしまったジェイドは、また顔を真っ赤にする。

「本当に……動揺しました…」

「あぁ……」

「もう、あんな危ない真似はしないで下さいよ」

ジェイドはそう言うとピオニーに背中を預けて、そっぽ向いてしまった。

背中を向けるジェイドを抱き締めて、頬を擦り寄せてみる。
少しだけ嫌がっていたジェイドだが、面倒臭くなったのか抵抗しなくなりピオニーを放っておく。

「お前もよく傷だらけになって俺を心配させるんだから、たまには俺も心配させろよな」

そう言うとジェイドの頬に軽く口付けをする。

「お互い様ですね」

今度はジェイドが照れくさそうにピオニーの頬に軽く口付けをした。

そして今日も、甘い甘い時間が流れていく。










何かがあるとお互いが手を差し伸べ


手を繋いで同じ道を逝く


いつまでも貴方と歩んで逝けるなら


死ぬまでこの手は離さない


ほら


泣いている子がいる


手を差し伸べてあげて?


笑い掛けてあげると


泣き止んだでしょう?









            END

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あきゅろす。
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