エロスが降臨しない件
call me(DJ)
血を欲しがるこの躯。
血が見たいと疼くこの躯。
ヴァンパイアでもないしドラキュラでさえない。
只の軍人なのに血を欲っしてしまう。
「ジェイド」
呼ばれて振り向けば、そこにはかつての親友が血だらけで私を呼びながら近づいていた。
「綺麗ですね…」
私の顔に付いた血を拭いながら軽く口付けを。
「何するんですか」
「ちょっとした挨拶です」
幾度も軽く口付けられてそれを甘受けしてしまう。彼も…血を浴びた私を綺麗だと言っていた気がする。
「沢山殺しましたね」
「私とて軍人ですから」
「血を欲っしていたのでは?」
彼の予想しなかったコトバに声が出なくて、喉奥を詰まらせる。
「血が欲しいと躯が疼くのですよ」
「私はアナタの血が欲しいですけどね」
身に着けていた手袋を外され、手の甲の擦り傷から溢れ出る血を舐め取られた。
「ジェイド」
「…っ、痛いですよ」
心が。手が。躯が。
疼く心臓。疼く傷口。
そのまま殺してくれと思う。
「ディスト…」
彼の名を紡ぐとまた口付けされた。
fin
[*back][next#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!