エロスが降臨しない件
destroyed doll(AS)
世界に捨てられた。
イラナイの一言で生きる意味さえ失った。
必要とされないこの躯。
いったい誰が必要としてくれようか。
「おい」
「……」
「おいチビ」
「アンタも背低いだろ!!」
あっ、つい反応しちゃったよこの馬鹿のせいで。
「早急から何シカトこいてやがる」
ほーら来たよ。この通りご機嫌ナナメの様だ。
「何の話しか解らないね」
僕はね、アンタが憎いのさ。ヴァンに必要とされ、レプリカにさえ必要とされてるアンタが。
「じゃあ聞くが、早急からどうして今にも泣きそうな顔をしている」
「え…?」
泣きそうな顔?何言ってんの?
意味解んないよ。なんで僕が泣かなきゃなんないのさ。
「お前…自分でからっぽの存在だとぬかしてやがったな。そのからっぽの中身、俺が埋めてやる」
「馬鹿じゃないの…。僕はねぇ、アンタが憎くて憎くて溜まんないんだよ!!ヴァンに必要とされて、レプリカにさえ必要とされてる!!僕は…誰にも必要とされなかったからっぽの人形なんだよ…」
そう、からっぽの人形。
心さえ凍りついたからっぽの存在。
「だから俺が必要としてやる」
憎くて憎くて溜まらなかったけど、それ以上に羨ましかったんだ。
「僕は、アンタが嫌いだよ…」
「あぁ…」
只一人に必要とされ、少しだけ心の何かが埋まる様な気がした。
それがあの屑のせいだとしても、僕は認めないけれど。
僕は居場所を手に入れた。
fin
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