Dream3
Stage1-4
イタリアの街を、二人の男が一般人では有り得ないスピードで建物づたいに走っていた。
「なぁ、燐がピンチってホントさっ!?」
「ああ。なんでもLv.2が三体居るらしい」
ラビと神田だった。二人は任務(ちなみにはずれだった)が終わった頃、リーバーから連絡を受けてすぐに目的地へ向かって駆け出したのだ。
「あいつのことだから、ヘマはしねぇだろうがな」
「でも、AKUMAの巣窟ってことは、Lv.3が居る可能性もあるんじゃねぇの?」
ラビの発言に、神田は舌打ちをする。そして、走るスピードを更に上げた。
何だかんだ言っても、彼は燐のことを心配しているのだ。
大切な少女の無事を祈って、少年達は強く地を蹴った。
Stage1 Change the world 4
Pm4:50
探索班《ファインダー》と別れた後、燐はLv.1のAKUMAを数十体も壊していた。彼が報告していたよりも、AKUMA達はこの廃墟に多く潜んでいのだ。
粗方壊し終わっても、燐は慎重に足を進める。そしてその視界の端に一体のAKUMAを視界に捕らえた。
<あれェ〜?もうニンゲンいねーじゃん!次探して早く進化しなきゃ、オレあのLv.3に喰われちまう〜>
恐ろしい情報を耳にして、燐の額に冷や汗が流れる。
思わず漏れそうになった声を、何とか押さえ込み、息を潜める。
「(まさか、Lv.3まで居たなんて…)」
しかし、燐のやる事は唯一つ。AKUMAを破壊することに変りはない。
「(行くよ、死鎌《デスサイズ》)」
妖しく光る大鎌を構え、一気にAKUMAに斬りかかった。
<ギャアァァァ!!オ前ハ、エくそシストぉぉー!!>
彼女はそのまま舞うように大鎌を振り払った。
着地と同時に、一言呟く。
「悲しき魂に、永遠の眠りを――Amen」
――ドカァァンッ
大鎌で爆風を振り払うと、そこには報告のあった二体のAKUMAが待ち構えていた。しかし、燐は焦ることなく距離を取って構える。
「(二体…第一開放するしかないか)」
そんなことを考えている時だった。
「界蟲一幻(かいちゅういちげん)・災厄招来!」
「劫火灰燼(ごうかかいじん)・火判!」
AKUMAの背後から、見覚えのある奇怪蟲と、火柱が見えた。
――ドンッ
――ゴォォォ
あっという間に、二体のAKUMAは消え去った。それと同時に暗闇から二人の少年が現れる。
それを確認して、燐は一瞬緊張を解いた。
――それが、いけなかった。
――ゾクッ
凍るような殺気に、燐は一気に現実へ戻された。
勢いよく振り向いて見えたのは、歪んだAKUMAの表情とその手の平だった。
<バイバイv龍族の娘>
「!!」
“何故それを”と言おうとしたところで、視界が歪んだ。平衡感覚が取れなくなり、AKUMAの手の平にある黒いモノに引き込まれて行くのを鈍くなった思考で理解した。
最後に目にしたのは、焦る神田と泣きそうなラビの表情。そして、二人の重なった声が、耳に残った。
「「燐―――!!」」
意識は深い海のような闇の中へ沈んでいった。
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