Dream1
Act.4 興味
生まれて(転生して)3年と数ヶ月、葵はかつてないほど混乱していた。
先程出会ったばかりの黒猫少年――雲雀恭弥が何故か居座っているのだ。
「…なにかよう?」
痺れを切らした葵が尋ねる。
一点の曇りもない瞳に吸い込まれそうになり、焦った。
「ぼくは雲雀恭弥。きみはほかのこたちみたいにバカじゃないし、むれてないからきょうみがわいたんだ」
「…むれがきらいなの?」
多少舌ったらずなものの、まるで3歳児の思考ではない。葵はこの少年に自分と似たものを感じた。
「きらいだね、とくによわいやつらのむれなんてむしずがはしるよ」
「(やっぱり彼は周りと違う)そう、わたしたちにてるのね」
そこで初めて葵は笑顔を見せた。
それからというもの、二人は一緒に居ることが多くなった。
何度か二人に喧嘩を(集団で)吹っ掛けてくるのもいたが、完膚なきまでに返り討ちにされていた。
実は葵は弟を守る為にと父親から護身術もとい、格闘術を教わっていたのだ。
雲雀は少し太い木製の棒を2本器用に扱い戦っているが、肉弾戦となると彼女の方が強かった。
そして今日も―――
――ガッ
――ゴッ
「むれてかかってくるくせによわいなんて、そうしょくどうぶつみたいね」
「いいね、そのよびかた。――だとしたら、ぼくたちはさしずめにくしょくどうぶつかな」
二人の隙を狙った(間違いなく年上の)少年が襲い掛かるが、誰よりも悲惨だっただろう。
「「 か み こ ろ す 」」
――ドカッ
最後の“草食動物”を片付けると二人はニヤリと笑った。
こうして、弟・綱吉が入園してくる頃には最恐のコンビが出来上がっているのであった。
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