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Dream1
Act.1 転生
まどろみ……何か温かく柔らかいものに包まれているような感覚。








ふと目を開けると、そこには巨大な男女の顔が。


「――――――――!!?」


驚きで声にもならない悲鳴を上げた。いや、舌が上手く回らず言葉らしい言葉を発することが出来なかったのだ。


「(何で……)」


そこで漸く気がついた。



「(――わたし赤ん坊になってる!?)」



短い手足に持ち上げられないほど重い頭、何かを喋ろうとしても言葉にならず呻き声のようなものしか聞こえない。


「(わたしは確かにさっきまでゼミのレポートをしていた…なのに何故!?)」


ショックを受けて混乱する彼女をよそに、目の前の男女はにこやかに笑う。


「よし、この子の名前はあおい、沢田葵だ!」


男がそう言った時、ハッとした。


「(それは……)」


そう、“葵”は彼女の元々の名前だった。そこでやっと彼女――葵は自分が異世界に来たのだと悟った。
それから状況を把握するのは早かった。


「(つまり、わたしは何らかの事象、または事故によって異世界へ転生したのか)」


先ほどから聞く県名や市名に全く聞き覚えがないのだ。しかし、だからと言って赤ん坊自分に今どうこうすることなど出来ない。これはしばらく待たなければならないと心中で嘆息した。


「(まったく…不便な。けれど衣食住の心配はいらないだけマシかもしれないな)」


そうして葵は長い付き合いになるだろう男女――両親の顔を一瞥して目を閉じた。







――こうして世界を拒絶できたらどれだけ幸せなのだろう




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