Dream1
Act.3 跳ね馬ディーノ
リボーン達アルコバレーノに修行をつけられ始めて数週間、葵は才能の高さを発揮していた。
彼女は特に順応能力に長けていた。どんな武器でもすぐに使い方を覚え、使うべき場面や状況に適切に応じていた。これには三人も驚き、称賛した。リボーンは「“ブラッド・オブ・ボンゴレ”が目覚めたのか?」と零していた。
――と言ってもまだ4歳児。筋力や体力的にも不足・改善点はたくさんあり、日々の修行は厳しくも充実したものだった。
今日も朝から基礎トレーニング(ジョギング5q、ストレッチ30分、背筋・腕立て・スクワット100回を1セットとして3セット分)で汗を流していた。
A.m. 9:00
リボーンの小さな姿ではなく自分よりも大きな姿が見え、タオルで汗を拭いながら首を傾げた。はっきりとその容貌が見えた時、その人物が男だということと、その彼の肩にリボーンが乗っていることに気付いた。
「チャオっす」
「…おはよう、リボーン」
肩から飛び降りてこちらへやって来たリボーンにいつものように挨拶をして彼に視線を向けると、自分よりも一回り以上年上であろう少年と目が合った。まだまだやんちゃ盛りの太陽のような美少年に、「将来ハンサムになるな」とババくさいことを考える葵であった。
「初めまして、わたしは沢田葵と言います」
「あ、え、オレはディーノだ。よ、よろしく」
何歳も年上のはずなのに妙に緊張しているのは、葵の態度が4歳児らしからぬほど落ち着き払っているからだろう。まるで自分よりも年上のように感じてしまう少年・ディーノだった。
「お前の姉弟子だ。仲良くしろよ」
「えっ!?この子もマフィアなのか!?―――って、オレはマフィアのボスなんかならねえって言ってるだろ!!」
「…ボス?」
こてんと首を傾げれば、真っ青(?)な表情のディーノとは正反対にニヒルに笑ったリボーンが「そうだぞ」と答える。
「こいつをキャバッローネの10代目ボスにする為にオレの教え子にしたんだぞ」
「……へえ(あまり向いてはなさそうだけど)」
「ちょっ、えと…葵、だったか?オレはならねえって――…」
――ズルッ ドタッ
「いてえっ」
何もないところで自分の足に躓いた彼のおかげで、その場の空気が凍った。リボーンは溜息を吐き、葵は頭の中が疑問符でいっぱいになっていた。
「へなちょこが」
「…………“へなちょこディーノ”?」
「ええっ!?ちょっと待て、それ定着か!!?」
―――こうして、将来の“跳ね馬ディーノ”…現在の“へなちょこディーノ”と弟弟子として出会ったのだった。
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